北海道砂川市の要請を受けて出動したハンターが、猟銃所持許可を不当に取り消されたとして処分の撤回を求めた裁判で、最高裁(林道晴裁判長)は3月27日、北海道の処分は違法として取り消す判決を言い渡した。
発砲は公務の一環であり、許可の取り消しは裁量権の逸脱・濫用にあたると判断した。
地元猟友会の支部長で原告の池上治男さんは「最高裁最高。これでハンターも安心できる」と語った。
●争点は「行政の裁量権の範囲を逸脱したか」
裁判では、北海道公安委員会による猟銃所持許可の取り消し処分が、行政の裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法なものかが主な争点となった。
一審の札幌地裁は処分を取り消したが、二審の札幌高裁は2024年10月、池上さんが発射した弾丸が周辺の建物や関係者に到達する危険性があったなどとして、処分は適法と判断。池上さんが上告していた。
●最高裁「住民保護に萎縮的な影響」
最高裁は判決で、弾丸が周辺の建物や他の隊員、市職員らに当たる危険性があったことは認めつつも、発砲に至る経緯を重視した。
池上さんが市の出動要請を受けて現場に赴き、当初は熊を逃がすことを提案しながらも、市職員から駆除を依頼され、警察官らによる避難誘導がおこなわれる中で発砲に至ったと指摘。
そのうえで、発砲は「非常勤の公務員によって、周辺住民等の生命、身体、財産及び生活環境の保護に資するという重要な意義を有する活動の一環としておこなわれたもの」であり、経緯に不適切な点は見当たらないとした。
また、近距離でヒグマと対峙するという緊迫した状況での判断だったと認定し、個人として受けている許可を取り消すことは池上さんにとって「酷」であると述べた。
さらに、このような処分はハンターが駆除活動を躊躇するなど、住民の利益保護に萎縮的な影響を及ぼし、鳥獣による被害防止を目的とする法律の趣旨に沿わない事態を招くおそれがあると指摘した。
そして、北海道公安委員会の判断について「重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法というべきである」として、原判決を破棄。処分を取り消した一審判決を支持した。

