
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、サイト「くらげバンチ」で連載中の漫画『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』(新潮社刊)より、26話『ちばりよ!』を紹介する。作者の空えぐみさんが、8月17日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.3万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、空えぐみさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■沖縄の街に誰もいない、その理由は

沖縄に転校してきた中村照秋が夏休みのある日にコンビニへ出かけたところ、街には誰もいなかった。ゴーストタウンのような静けさに思わず大声をあげると、「捜しても誰もいないよ」と声がかかり、視線を向けるとそこにはクラスメイトの姿が。
彼女たちはもうすぐ甲子園で沖縄代表戦が試合開始すると教えてくれ、4人でショッピングモールへ向かうことに。そこではパブリックビューイングがおこなわれており、多くの人が集まっていた。その様子を見て甲子園が愛されていることに驚いていると、甲子園野球が愛されている悲しい理由が語られ…。
この沖縄県民の甲子園に抱く思いを描いた漫画を読んだ人たちからは、「皆一丸になってて好き」「まさにこうなるよ」「熱い思いが全体にあるのいいな」「地元でもパブリックビューイングしてほしい」など、多くのコメントが寄せられている。
■「楽しく沖縄のことを知れる」作者・空えぐみさんに漫画創作へのこだわりをインタビュー

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
関東で前作の漫画の連載させて頂いている時に、背景などを描いて頂くアシスタントさんが沖縄の方でした。その方とお話しながら漫画を描いていたのですが、その方の話す沖縄の話がとても面白かったのがきっかけです。話を聞くだけで面白いのだから『沖縄の漫画を描くと絶対面白いぞ』と思い連載したものが終了するとすぐ沖縄へ移住しました。沖縄の暮らしはとても楽しく、関東では体験できないものばかりでした。食事に文化、道を歩いているだけで建物が沖縄特有のものであったりそしてバナナやグァバ、パパイヤが当たり前のように道に生えていました。そして何より沖縄の人々は暖かくご自宅へ招いて頂いてご飯をご馳走して頂いたり地域の行事だけでなくお墓参りや旧盆などの家庭の行事も参加させて頂きました。そういった中で体験した沖縄の文化や風習、日常などを切り取って作品にさせて頂いています。
――本作では、思わず抱き着いてしまう比嘉の笑顔と、事態に気づいたときのようすが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
沖縄で自分が感じた楽しい文化などを漫画で伝えたいという思いは強くありましたが沖縄の要素が多すぎると沖縄に興味がある方にしか届かないと思いました。漫画なのでやはりキャラクターが魅力的であることは絶対必要だと考えそのキャラクター達が楽しそうな沖縄での日常を描いて読者の方にも楽しく沖縄のことを知れるというところにこだわっています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
沖縄の文化や風習をキャラクターの言葉に乗せることが出来たシーンは気に入っています。沖縄の言葉「うちなーぐち」ではサヨナラにぴったりと当てはまる言葉はないのですが喜屋武さんは「沖縄は狭い島だから別れてもいつか必ず会える、だからサヨナラって言葉を作り忘れたのかもしれないね」というセリフは喜屋武さんらしい可愛らしいセリフだなと気に入っています。
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
沖縄本島では大きく南部・中部・北部があるとされているのですがそれぞれ言葉・文化などが大きく違っていてさらに中部だけでもごく一部の地域にしか通じないものもあります。そういったその地域にしかない文化を沖縄全体の文化のように説明しないように気を付けています。一部にしかない文化を紹介する際はそういった文言を添えています。
――今後の展望や目標をお教えください。
沖縄本島と離島では文化やお祭りもまた違うので離島の文化を体験し、そこに住む方々の話をたくさん聞いて離島のお話も描いてみたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
これからも沖縄の文化・風習を楽しく作品にしていけるよう精進してまいりますので『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』をよろしくお願い致します!単行本は10巻まで発売中、アニメはブルーレイ(上下巻)・各配信サイトで配信中です!

