赤ちゃんの頭の形について、「ゆがんでいる気がする」「このまま様子を見ていて大丈夫なのか?」と不安になる保護者は少なくありません。今回は、赤ちゃんの頭のゆがみについて、原因や自然経過、放置した場合の影響、受診や治療の考え方まで、Family Clinic みわた小児科の三輪田先生に聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
三輪田 俊介(Family Clinic みわた小児科)
近畿大学医学部を卒業後、名古屋記念病院、名古屋第一赤十字病院(現・日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院)などで小児科医、救急医として臨床経験を積む。名古屋大学医学部附属病院では小児医療・血液領域を中心に研鑽を重ね、博士号を取得。その後、名鉄病院にて小児科医長、名古屋ガーデンクリニック小児科部長を歴任し、2024年よりFamily Clinic みわた小児科の3代目院長に。名古屋の小児科医として初めて頭の専門外来を開設し、これまでに2000名以上の赤ちゃんの頭の相談に乗り、500名以上のヘルメット治療をおこなっている。また、テレビのコメンテーターとして医療情報の発信にも尽力。医学博士、日本小児科学会小児科専門医。
赤ちゃんの頭のゆがみ、これって珍しい⁉
編集部
頭のゆがみがある赤ちゃんは、たくさんいるのでしょうか?
三輪田先生
赤ちゃんの頭の形のゆがみは決して珍しいものではありません。目安としては3人に1人程度に何らかのゆがみが見られるとされています。多くは病気ではなく、いわゆる向き癖やお産によって外から加わる力が原因で起こります。
編集部
病気ではないことが多いのですね。
三輪田先生
そうですね。利き腕と同じように、赤ちゃんはどちらか片方を好んで向く向き癖があります。すると、地面に接する頭が重力に負けて圧迫されてしまい、成長が抑えられて頭の形がゆがんでしまうのです。このようなゆがみは、「位置的頭蓋変形症(いちてきとうがいへんけいしょう)」と呼ばれます。
編集部
ゆがみが自然に治ることはありますか?
三輪田先生
病的な原因がない位置的頭蓋変形症の場合、寝返りをするようになるとよくなることが多いものの、中にはゆがみが残ってしまう赤ちゃんもいます。
編集部
ゆがみをそのままにしておくと、どのようなデメリットがありますか?
三輪田先生
脳の成長や精神発達に直接影響することは基本的にないとされていますが、顔や耳の左右差が残ることにより、かみ合わせの問題や帽子の被りにくさ、眼鏡のかけにくさなど、将来的に整容面・機能面で支障を来す可能性があります。また、病気による頭の骨の変形でないことを確認するためにも、一度医療機関を受診することをおすすめします。
受診の目安と相談のタイミング
編集部
治療を相談するなら、どのタイミングがよいでしょうか?
三輪田先生
できるだけ早く頭の形の専門外来に相談してほしいです。ヘルメット治療は月齢が小さいほど治療の効果が出やすく、特に6カ月までであれば非常に効果的です。また、頭のゆがみが強い赤ちゃんの発達はゆっくりなことが多く、ゆがみそのものだけでなく発達についても評価した方がよいため、気になったら早めの相談をおすすめします。
編集部
受診すると、どのような検査をおこないますか?
三輪田先生
医師が診察で頭の形や骨の状態を確認した後、3Dスキャンによるゆがみの測定・評価を全員におこないます。また必要な赤ちゃんには、レントゲンによる検査で骨の病気の鑑別を行っています。
編集部
治療の種類について教えてください。
三輪田先生
病的な要因によるゆがみでない場合は、生活指導などを中心とした理学療法を指導し、ゆがみが将来的に残ってしまうと予想される場合には、ヘルメット治療も併せて実施します。ヘルメット治療は、3Dスキャンで解析したデータに基づき、赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせて設計されたオーダーメイドのヘルメットを装着し、頭部を本来あるべき形へと導く治療法です。

