●「警告だけでは止まらない」加害者対策の限界
一方で、小早川さんは加害者側への対応の限界についても言及している。
「警察から警告を受けただけでは、加害者の不満や怒りが収まりません。重要なのは、この不満や怒りを減少させることです。(民事)訴訟をすると、加害者が自分の代理人に言い分をぶつけることができます」
そのうえで、より踏み込んだ制度の必要性をうったえていた。
「何より優先されるべきは人命です。『犯罪者未満』の加害者を犯罪者にしないために、警告はもとより禁止命令もしっかり出して警察の抑止力をかけ続けてほしいです」
「禁止命令を受けたストーカーの中でも特に衝動性が強く、行動制御能力に問題があると見受けられる一部の者に対しては、医療への勧奨ではなく、せめてプログラムの受講や精神保健福祉士等の医療情報を提供できる心理の専門家との面談を命じられるようにストーカー規制法の禁止命令の運用を見直していただけないものかと私は思います」
●「人命優先」の社会へ
ストーカー事案に社会はどう向き合うべきか。
「被害者の命と加害者の人権が天秤にかけられることには反対です。人命優先のため、警察には早期の介入と加害者に対する強い抑止力を求めます。同時に、ごく一部の危険な加害者を医療に導入する方法を警察だけに頼るのが良いことなのか、どういった体制が必要なのか、社会は検討しなければならないと思います」
今回の事件の全容は捜査中だが、専門家が繰り返し警鐘を鳴らしてきた課題が、改めて突きつけられている。

