
息子の就学先をめぐり、不安を抱えていた頃(べっこうあめアマミさん作)
【画像で見る】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)
ライターとして活動するべっこうあめアマミさんは、重度知的障害を伴う自閉症の11歳の息子ときょうだい児である7歳の娘を育てながら、発達障害や障害児育児に関する発信を続けています。
現在、アマミさんの息子は特別支援学校の5年生です。アマミさんによると、就学前は「特別支援学校か、支援級(特別支援学級)か」で揺れ動いていたといいます。「この子の将来を、私は正しく選べるのだろうか」と不安に押しつぶされそうになった就学相談から5年。「もしかしたら支援級に行けるのでは」という期待と、「現実をきちんと見なければ」という葛藤の間で悩み抜いた末に特別支援学校を選んだということです。
トイレトレーニングの壁、療育手帳の判定変更、そして学校で出会った先生や友達との関わりを通して、今だからこそ言える「この選択でよかった」という気持ち。卒業、進級シーズンを前に、わが子の進路に不安がある保護者に向けて、アマミさんが5年間の歩みを振り返ります。
「もしかしたら支援級に行けるのでは」という期待
障害があったり、発達に課題があったりする子は、幼稚園や保育園の年長のとき、就学先を決めるために「就学相談」というものを受けます。
息子が年長の夏の話です。指定された面談場所である教育委員会の建物に入るとき、私はひどく緊張していました。息子の進路、将来に関わることを決めなくてはと思うと、気持ちが落ち着かなかったのです。
息子には、重度知的障害を伴う自閉症があります。そのため、就学前は幼稚園と、発達に課題のある子どもの自立を支援する施設である「療育」を併用していました。
幼稚園では、障害のある子や発達の遅れが気になる子を支援する「加配」の先生がついて、本当に手厚く支えていただき、周りの子どもたちにもかわいがってもらいました。
そんな集団生活の中で、息子なりに大きな成長も見せてくれていたのです。
「支援級、行けるんじゃないか」
「支援級に行って、息子よりもいろいろできる子たちの中で過ごせば、引っ張られて伸びるのではないか」
そんな期待もありました。親であれば、わが子の可能性を信じたいものです。
「これからぐんと伸びるかもしれない」という未来への希望を、簡単には手放せませんでした。
しかし、あれから5年。今となっては、親の理想を押し付けていたのかもしれないと思うようになりました。
親の欲目があり、幼少期は子どもの不確定な未来の成長に期待してしまいますが、必ずしも期待通りに行くとは限りません。
小学校に入ってからは、より多くを求められるようになりますし、自我もしっかりしてきて、思春期などの難しい時期も通ります。支援級であれば、学習という壁もあるでしょう。特別支援学校こそが、息子にとってベストの居場所でした。
療育手帳の判定も、息子は就学前の時点では重度ではなく、中度判定でした。
それもあって、就学前は私自身、息子の障害の重さをしっかり認め切れていなかったのかもしれません。
しかし、中度判定の療育手帳を持っていたとはいえ、発語はなく、トイレも自立できていなかった息子は、就学相談の中で当然のように「重度でしょう」と言われました。
実際、入学してから手帳の更新に行くと、やはり重度になったので、就学相談の担当者は、息子の特性をよく見極め、最適な環境を提案していたのだろうと思います。
思い通りにいかない現実と支えてくれた環境
就学前、息子のトイレトレーニングは完了していませんでしたが、私はオムツも「もうすぐ外れるのではないか」と思っていました。
しかし、現実は違いました。うまくいったと思えば、長期休みに生活リズムが崩れて逆戻り。「環境の変化で一気に不安定になり、また振り出しに戻る」という繰り返しでした。息子が小学5年生になった今、昼間のオムツは外れましたが、パッドは完全には外せていません。
「もし支援級を選んでいたらどうだっただろう」と考えることがあります。
学習のペース、求められる自立度、思春期に向かう中での人間関係。息子は「できない自分」と向き合う場面が、もっと多かったかもしれません。
しかし、特別支援学校では、先生方が息子のペースを何より大切にしてくれました。トイレトレーニングも、学校が主導して進めてくれました。
何度も一緒にトイレに行き、タイミングを見ながら声を掛けてくれました。
息子専用の、トイレトレーニングの計画表や記録表も作ってくれたことがあります。
授業でも、特別支援学校の先生は、本当によくしてくれました。
集団で授業をするときは、話すことができない息子が「発言」という形で意思表示できるよう、絵カードや写真を用意してくれたのです。
個別課題では、息子の長所である「手先の器用さ」を伸ばせるような、オリジナル教材も使ってくださいました。
先生は息子が好きなことや好きな色を見つけてくれて、私に教えてくれたりもしました。
特別支援学校の先生が、私が知らない息子をたくさん引き出してくれたのです。
また、就学前は鉛筆を握ろうともしなかった息子が、4年生からは筆記用具を持ち、運筆の練習を始めています。小さな一歩ですが、確かな前進です。

特別支援学校で友達に恵まれた自閉症の息子。授業中に手が汚れて困っていたときに、クラスの友達がサッと息子のタオルを取りに行って、差し出してくれたことも(べっこうあめアマミさん作)
