
亀梨和也が主演を務めるドラマ「ストーブリーグ」(全8話)が、3月28日にLemino・WOWOWで全話一挙放送・配信された。第1話から、球団運営のリアルに踏み込んだ描写でグッと引き込まれる内容になっている。(以下、ネタバレを含みます)
■野球経験ゼロのGMが万年最下位のチームを改革
本作は2019年に韓国で放送され大ヒットを記録したドラマの日本版リメークで、万年最下位のプロ野球チームの再建に挑む、野球未経験のゼネラルマネジャー(GM)と球団運営フロント陣の奮闘を描く物語。亀梨が野球未経験ながら大胆な改革を推し進めるプロ野球チーム「ドリームズ」の新GM・桜崎準役を務め、長濱ねるが演じる編成本部長・蒔田理紗をはじめ運営スタッフたちと時にぶつかりながらも、少しずつチームに変化をもたらしていく。
亀梨、長濱のほか、野村萬斎、葉山奨之、梶原善、木村柾哉(INI)、板尾創路、勝地涼、剛力彩芽、吉田鋼太郎ら個性豊かなキャスト陣が集結している。
ドリームズの本拠地は愛知・豊橋市。シーズン終盤、ホーム最終戦なのに既に消化試合となったゲームはファンの応援もむなしく大量点を取られ、揚げ句、試合中にコーチ陣がいがみ合い、ベンチで乱闘を始めるという体たらくを見せてしまう。ファンすら呆れるこの光景を、スタンドから冷静に見ていたのが桜崎だ。
さらにチームの惨状にもかかわらず球団フロント陣もどこか他人事で、のんきに飲み会で愚痴をこぼすという、ダメな会社にありがちなぬるま湯ぶりを見せる。その中で1人意気盛んなのが、筋金入りのドリームズファンでもある蒔田だ。
低迷を受けてGMは辞職し、蒔田たちで新しいGMを募集することに。その面接会場にやってきた桜崎は、野球経験こそないものの過去にいくつものスポーツチームを優勝させた“優勝請負人”。だが、「この先10年は最下位」と、容赦なくチームの現状をぶった切った。
蒔田はつい頭に血が上って桜崎を追い払うも、後でばったり出会うと「ドリームズに長所はありますか?」と聞いてみる。だが彼は、ドリームズの優勝を本気で目指す蒔田に「みんな同じ思いですか?」と問う。このあたり、桜崎がドリームズに耳の痛い正論を淡々と述べていくところは、熱心なスポーツファンなら何かしら身につまされるところがあるだろう。
結局、球団社長・根岸壮(萬斎)の肝入りで桜崎が新GMに就任。ところが彼が出した球団改革プランは、監督とコーチ陣は全員留任させ、しかしチームの主砲で絶対的な人気と存在感を持つ工藤達也(佳久創)をトレードで放出するという予想外のものだった。もちろん蒔田ら球団スタッフは猛反発するが、桜崎は意に介さない。
■チームの主砲の“裏の顔”があらわに
ところが、ドリームズの精神的支柱だったはずの工藤の“本性”が、このトレード話からあらわになっていく。フロントとも通じていて、チームを私物化するような振る舞いに及んでいたのが工藤だった。
トレードを決めたGMの桜崎に対しても駐車場で待ち伏せし、彼の車のフロントガラスをバットでめちゃくちゃに叩き壊した。それでも桜崎は「金になる選手を警察に突き出すことはできません」とこちらも腹をくくる。
ドリームズを取り巻く状況が徐々に明らかになってくる。弱くても居心地がいいから、愛されているからと、“情”で動いてきたフロントと現場を、桜崎はデータや客観的な視点といった“理”で改革しようとしている。車を壊された桜崎を蒔田が自分の車で送って帰るシーンでの会話が、そんな2人の空気感の違いを浮き彫りにしていた。
トレード計画が工藤の差し金でマスコミにすっぱ抜かれても、桜崎は気にも留めない。工藤がいかにチームを蝕んでいたかをデータでもって淡々と説いていくと、彼を野球の素人と甘く見ていたフロントたちも沈黙していく。そして決めの一手が、工藤のトレード相手として、かつて放出されたエースの澤田武尊(谷恭輔)を呼び戻すというもの。もはや誰にも、反対する理由はなかった。
ドリームズの試合から始まるこの第1話、ゲームシーンは愛知・バンテリンドームナゴヤでロケを行い、球場広告も含めリアリティーの極めて高い描写になっている。桜崎がトレードを持ちかけたバイキングスのGMとの対談は横浜スタジアムが舞台で、野球エンタメとしての臨場感へのこだわりは一貫している。
さらに主演の亀梨といえば、芸能界で1、2を争う野球ファン。野球にまつわる活動も多い彼が、本作ではまだ心の内を見せずにクールなビジネスリーダーに徹している。蒔田役の長濱は、ドリームズを愛するからこそぬるま湯の中で空回りしているところを愛嬌も交えて演じている。
コネ入社のダメ社員である三谷原樹(葉山)をメガホンで軽く引っ叩いたりするところもほほ笑ましい。だが他のスタッフはまだ腹に一物あるような態度を見せていて、桜崎の理詰めの改革にどう反応していくかも気になるところだ。
謎めいた優勝請負人による球団再生はまだ始まったばかり。衝撃のトレードに続いて、第2話ではドラフトの世界にメスを入れていく。
◆文=大宮高史

