ウイルス性と聞くと心配になるのが、感染経路やどんな経過を辿るのかということではないでしょうか。知っておくと心構えができることでしょう。
ここでは、C型肝炎の主な感染経路・症状について紹介します。
※この記事はメディカルドックにて『「C型肝炎」の症状・感染経路はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
C型肝炎の感染経路・症状

C型肝炎はどんな病気ですか?
C型肝炎は肝臓がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで引き起こされる病気です。重症化すると慢性肝炎・肝硬変・肝がんといった肝臓の障害を引き起こす可能性があります。ただし感染してもすぐに症状が起きるわけではありません。「感染しているが検査を受けていない方」や「感染がわかっているが通院していない方」もおり、潜在層を合わせて約100万人ものHCV感染者がいると考えられています。
これは肝臓という臓器自体が病気にかかっても自覚症状がほとんど感じられないためです。そのため、気づかずに肝がんへと進行してしまったというケースもあります。
どんな感染経路がありますか?
感染経路は主に血液です。通常は普通に生活をしていても、他人の血液に触れることはないでしょう。そのため日常生活では感染に関してあまり気にしなくても良いとされています。想定される感染経路としては、感染者の血液から作られた血液製剤や輸血、または注射器の使い回しなどが想定できます。
そのため、感染者と直接触ったりタオルなどを共用したりといった場合でも感染はありません。ただし、血液が服などについてしまった場合は、直接触らず洗うようにしましょう。妊婦からお腹の中にいる胎児や、性行為でも感染する可能性はありますが、確率はかなり低いです。
C型肝炎ではどんな症状が出ますか?
C型肝炎の初期症状は、全身の倦怠感・食欲不振・嘔吐などです。症状が進行すると、皮膚が黄色く見える「黄疸」や極端なむくみといった症状がみられます。この頃には肝硬変が進んでいるため、本来であれば治療が必要です。しかし、黄疸以外は初期症状においては他の病気でもみられる症状のために見逃されることが多くなっています。
自覚症状がない方も多いのですね…。
初期症状などの自覚症状すらもないまま、進行してしまう方が多いです。これを「不顕性感染」と呼びます。しかし、不顕性感染となってもウイルスが自然に排除されることはあまりありません。ここから「慢性肝炎」へと進行し、約3割の方が肝硬変へと進行していきます。この頃には肝硬変の症状が出始めるため、その症状の診察によって初めてHCVに感染していたということを知る方も多いです。
編集部まとめ

現在、日本ではC型肝炎にかかっている方が約100万人ほどいると考えられています。感染経路がわかっているケースはあまり多くありません。
そのため、どんな方であっても一度はC型肝炎の検査を受けることを推奨されています。検査自体は血液検査だけなので比較的容易です。
すぐ近くに感染者がいても、感染経路は血液だけなので、日常生活を共に過ごしていても感染することはありません。過度な心配はしないようにするのが大切です。
参考文献
C型肝炎(肝炎情報センター)

