突然の胃がん告知を受けたかずきさん(仮称)。自覚症状がほとんどない中での診断は衝撃的でしたが、手術や抗がん剤治療を経て、今も前を向いて生きています。友人や家族の支えを力に変え、職場にも復帰。「当たり前の日常」への感謝を胸に日々を大切に過ごす姿には、多くの人に勇気と希望を与える力があります。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年9月取材。
体験者プロフィール:
かずきさん(仮称)
1994年生まれ、福岡県出身。大学卒業後に上京して会社員として勤務。2022年8月に腹部の満腹感を覚えて病院を受診、胃がんと診断される。その後、胃の約3/4を摘出して術後の抗がん剤治療を1年間実施。抗がん剤治療終了後には、第一子(娘)が誕生。仕事とプライベートに精を出していた矢先の2025年1月に再発。腹膜播種(ふくまくはしゅ)や腹水もある上に、抗がん剤の影響で体重が10㎏以上減少。状態は決して良くない状況であるものの、3週間に1度の抗がん剤治療を実施しながら仕事に励んでいる。
突然の診断と向き合うまで
編集部
病気が判明した経緯について教えてください。
かずきさん
2022年8月ごろ、何度か腹部に満腹感を覚えることがありました。その時は「ちょっと胃もたれかな?」と軽く考えていて、特に気にしていませんでしたね。予定が空いたある日、近所の消化器内科を受診して、何度か診察を重ねた後に胃カメラの検査を受けたのです。そこで胃がんが見つかりました。
編集部
診断が下された時の心境について教えてください。
かずきさん
「何かの間違いだろう」と全く信じられませんでした。実際、医師に「別の人のカルテじゃないですか?」と聞いてしまったほどでしたから(笑)。衝撃があまりに大きかったこともあって、病院を出るまでの記憶がほとんどありません。家への帰り道で少しずつ現実を受け止め始めました。
編集部
胃もたれ以外の自覚症状はあったのでしょうか?
かずきさん
ありませんでした。本当に軽い胃もたれ程度で、「昨日ちょっと食べ過ぎたかな?」くらいにしか思っていませんでしたね。
編集部
家族はどのような反応をしましたか?
かずきさん
衝撃的で言葉を失っているような感じでした。母が一番ショックを受けていたことを覚えています。
支え合う日々と変化した生活
編集部
医師から治療方針について説明がありましたか?
かずきさん
ありました。初めて診断された時は、まず手術で胃を摘出し、その後は再発防止のために錠剤タイプの抗がん剤治療を行うという方針でしたね。再発が確認された際には、病状の進行を抑えるために、3週間に1回の抗がん剤による治療を受けることになりました。
編集部
2025年の再発は、どのような経緯で判明したのでしょうか?
かずきさん
造影CTによる3カ月に1度の定期検診で分かりました。この時も自覚症状は全くありませんでした。
編集部
再発を知った際の心境を教えてください。
かずきさん
「恐れていたことが起きてしまった」と……。絶望感というよりも、虚無感の方が大きかったですね。医師から同じ症状における一般的な余命を聞き、「もう自分は来年を迎えることすらできないかもしれない」とぼうぜんとしたことを覚えています。
編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
かずきさん
食事のスタイルが大きく変わりました。急にたくさん食べると「ダンピング症候群」と呼ばれる強い吐き気に襲われることがあるため、少量ずつ回数を分けて食べるようにしています。また、そしゃくしやすい、できるだけ消化の良いものを選ぶよう心掛けています。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
かずきさん
友人の存在が何よりの支えです。病気が判明してから、たくさんの友人が励ましの言葉を掛けてくれたり、お守りやビデオレターを送ってくれたりしました。そのおかげで、「こんなに多くの人が応援してくれているのだから、自分は絶対に大丈夫!」と前向きな気持ちになれました。もちろん、家族もかけがえのない存在ですし、自分の支えになっています。

