焼肉に誘ったら「一人で食べてください」
真剣交際に入る前、二人はカフェでコーヒーを飲むことが多く、食事をしたのはインドカレー屋に行った1回きりでした。二人で2回めの食事することになった際に、幸子さんは前もってお店を探して予約してくれたそうです。そこはヴィーガンレストランでした。
そこで侑也さんは、最初のインドカレー屋も肉のカレーがなかったことを思い出します。
「幸子さんはヴィーガンなんですか?」「はい。あ、結婚しても侑也さんに強制したりはしませんよ。家族の中でもヴィーガンは私だけで、両親は肉も魚も食べてます」
「一緒に焼肉食べに行きたかったのに」
「美味しいですよね。私も昔は焼肉好きだったんですよ。でも、どうしても牛の死体と思うと食べられなくなってしまって。ヴィーガンを始めて体調も良くなったので私には合っていたんだと思います。焼肉は残念だけど、一人で食べてください」
ヴィーガンのメリットを力説されて
ヴィーガン料理は、思っていたより美味しかったそうです。「美味しいね」と伝えたら、ヴィーガンはメタンガスの排出を減らすから環境に優しいし、心臓病リスクを減らすなどのメリットを力説されました。幸子さんは肉・魚のみならず鰹出汁が含まれるものも極力食べないようにしているため、食べられる料理がかなり制限されます。
侑也さんは彼女の熱く語る様子を見て、まるで新興宗教かネットワークビジネスの勧誘を受けているような気分になったそうです。もちろん頭では、それらが別物だと分かってはいます。ですが悩み考え抜いて、幸子さんとの交際を解消する決断をしました。「アレルギーや好き嫌いで肉が食べられないぐらいなら気にしなかったと思います。私の都合より保護猫の幸せを優先させられそうだったし、崇高な思いがあるのは素晴らしいと思いますが、息苦しい」

