銀行員50歳定年説は本当?
銀行への就職、昇進の話をしたら、キャリアの締めくくりの話もしておく必要がありますね。
今から10年くらい前の銀行では、実質定年は50歳などと言われていました。銀行以外の一般企業だと、当時でも55歳で役職定年、60歳で本当の定年でしたから、ずいぶんと若い年齢で一線を退かされるというイメージです。

銀行の出世競争というのは結構苛烈で、役員にまでのぼれる人は同期の数%と言われています。イメージとしては、あるメガバンクのその年の新卒採用人数が400人だとしたら、役員になれるのは同期で10人前後ではないでしょうか。
実際、メガバンク勤務の人たちは、どのようにして出世の階段をのぼっていくのでしょうか。
一般的に、メガバンクで出世する人が配属される部署は、(1)規模の大きな支店、(2)本店の営業部署、(3)一部海外支店、(4)人事部や経営企画部など中枢機能を担う部署のいずれかが多いと言われています。
新卒入社直後から(2)、(3)、(4)の部署への配属は、ほぼないと考えてもよいでしょう。したがって、新卒で配属されるのは(1)かそれ以外ということになります。
また、これは銀行によって若干の違いがあるので何とも言えませんが、新卒採用の多くは、全国にある支店に配属されます。そこで銀行員としての基礎を学んでいくわけですが、最初に配属された支店に関しては、どこであったとしてもそれほど出世には関係ありません。大事なのは、その次の異動からです。
だいぶ変わってきているようですが、銀行の人事評価は減点主義です。
2店目以降の配属先で、同期入行者との目に見えない比較をされながら、「バツ」と称される大きな失敗をせずに実績を積み上げ、役員や上司に引き上げられるような人が出世していきます。
そして、この項目の冒頭でも触れた50歳定年説ですが、これは同期役員が誕生する50歳前後で、大半の人が銀行の関連会社か、取引先への出向・転籍を命じられることから、そのような言われ方がされたのです。
「50歳定年」は崩壊、人手不足で銀行員の寿命は延びた
ところが、昨今はちょっと面白いことに、出世コースから外れたとしても、出向しなくて済むケースが増えてきました。早期退職といった肩たたきも減りました。
なぜなら、人手不足が、いよいよ銀行にも押し寄せてきたからです。
一番の問題は就職氷河期世代です。就職氷河期世代とは、1970年4月2日生まれ以降、1983年4月1日生まれまでと一般的に定義されています。2025年時点の年齢だと、42歳から55歳までの人たちが該当します。
就職氷河期は銀行もご多分に漏れず、採用人数を絞りました。結果、この年代の人が非常に少なくなっていて、50歳以降に出向・転籍させることができなくなっているのです。
逆に言うと、出世にこだわらないのであれば、銀行員のまま60歳、あるいは65歳まで仕事を続けられることになります。
賃金も、50歳以降には役職定年のような制度があって、大きく減らされるのが通例でしたが、今はそうもいきません。50歳以降の賃金下落のカーブがはるかになだらかになってきたのです。この傾向はメガバンクだけでなく、地方銀行も同じです。
銀行をはじめとする金融機関について、現実を知る多くの銀行マンを取材した話を包み隠さず、紹介してきました。就活中の方で、「それでも銀行に行きたい!」という方は、きっと適性があるのだと思います。

