私は愛されていたんだ――
母の遺品整理中、押し入れの奥に大きな箱を見つけました。
開けてみると、中には、私の書いた作文や通知表、運動会の写真、遠足のしおりなどが、大量に保存されていました。
几帳面な母らしく、学年ごとにきっちりとファイリングしてあります。
「お母さん、全部取っておいてくれたんだ……」
驚く私の肩をそっと撫でて、叔母が言いました。
「お姉ちゃん、口下手なだけだったのよ。あんたのこと、頑張り屋さんのいい子だって、ずっと自慢していたわ」
その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れ出しました。
私はたしかに愛されていた。
そんなの本当は、わかっていたのに。
伝えられなかった想い
実家からの帰り道、ふと幼いころの記憶がよみがえりました。
夕暮れ時、この道を母と手をつないで帰ったっけ。
オレンジ色に染まる母の顔は穏やかで優しく、とても幸せだった――。
お母さんに、もう二度と会えないんだ。
あのとき、お見舞いに行っていれば。
母のことを思い出すたび、胸が締めつけられます。
けれど、母が残してくれた数々の思い出の品は、「あなたはあなたのままで、ずっと大切だった」という無言のメッセージのようにも感じられます。
伝えられなかった「ごめんなさい」と「ありがとう」が、どうか天国の母に届いていますように。
【体験者:40代女性・兼業主婦、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

