
幸せな日々を送っていたデザイナーの種さん。ある日突然、激しい吐き気に襲われ、理由もわからぬまま“オエオエ地獄”と称する発作に5年間苦しむことになる。その原因はパニック障害だった。自身の体験を描いた漫画『パニック徒然日誌』は、SNSで反響を呼んでいる。今回は「向精神薬を初めて飲んだ日の話」をテーマに、漫画に込めた思いなどを著者に聞いた。
※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。似た症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。
■「まさか飲まなくて…」パニック障害の薬を避けた理由



「向精神薬を飲むと危険」という勝手な妄想から、パニック障害の薬を1度も飲まなかった種さん。当然、発作は治まらなかった。そんなある日、人生を変える出来事が起きる。
インフルエンザのため、1人家にこもって休んでいた種さんを、突然の巨大地震が襲う。余震の激しさに加え、そのショックで発作が起きてしまう。夫は年始の挨拶で不在。恐怖と不安に襲われた種さんは、ついに向精神薬を口にした。
漫画で描かれている巨大地震は、2024年1月の令和6年能登半島地震だ。激しい揺れが続く中、「これはもう発作よりも、圧倒的に地震(余震)が怖かった。揺れが思ったより大きく、何度も続き…これは発作で動けなくなっている場合ではないと、思い切って(初めて)薬を飲みました」と、当時の状況を振り返る。
■「崖から飛び降りる気持ち」で薬を飲んだ夜
あれほど薬を避けてきたのに、すぐに飲めたのだろうか。「もちろん、かなり迷いに迷ってです。『これを飲んで余計におかしくなってしまったら』『効かなかったら』などと不安でいっぱいでした。『南無三!』と、崖の上から飛び降りるような気持ちと勢いでいきました」と、当時の葛藤を明かした。
恐怖におびえながら飲んだ薬の効果は、鮮やかだった。「薬を飲んでから効くまで、数分〜数十分くらいはあったかと思うのですが、吐き気が消え、『通常の身体に戻った』ときはもう、めちゃくちゃ感動しました」と、薬の効果を実感する。
しかし、「『薬の効果の凄さ』と『ビビって今まで飲まなかった自分の小心者さ』が同時に襲ってきて…感動より恥ずかしさが勝ち、部屋で1人、顔真っ赤でした」と、複雑な心境を語った。
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