忠告を無視して純一と会い続けるかなでに対し、サツキは「口出しをしない」と決める。本人が心から嫌いになるまで待つしかない――。つらい決断を下した家族は、彼女がボロボロになって戻ってきた時の居場所を守り続ける。
妹を想っての苦渋の決断
「もう、何も言わないことにした」
私はリビングでため息をつきながら、母に告げた。
あれから、かなでは何度か純一と会っているようだった。貴重な20代。その1分1秒がどれほど価値のあるものか、26歳の私には痛いほどわかる。そんな嘘つきの30歳男に費やす時間は、ドブに現金を捨てているようなものだ。
「浮気と嘘は一生治らない」――これは人生の真理だと言ってもいい。
母と見守る約束をする
でも、かなでは頑なだった。周りが何を言っても、今の彼女には届かない。恋愛は本人の自由。強制的に引き離したところで、彼女の心が納得していなければ、また同じような男に引っかかるだけかもしれない。
「サツキ、本当にそれでいいの?」
母が心配そうに私を見る。
「お母さん、今のかなでには何を言っても逆効果だよ。自分でも『やめたほうがいい男』だってことは分かってるんだから。それでも好きっていうのは、もう本人が痛い目を見て、心から嫌いになるまで待つしかないんだよ」
私は、自分自身に言い聞かせるように言葉を続けた。
「ちょっとだけ、見守ってみよう。かなでが本当にボロボロになって帰ってきたとき、私たちが全力で受け止められるように準備しておこうよ」
母は寂しそうに「そうね……」と頷いた。

