土下座する夫に、優香は「離婚保留」の代わりに「全権掌握」の条件を突きつける。夫の資金で豪華(ごうか)ランチをたのしみ、主導権をにぎり直した。もう、盲目な妻ではない。子どもと共に、自立した強さを持って未来へと歩み出す。
夫の謝罪を冷ややかに見つめる
カフェでの修羅場の後、私たちは近くの個室がある、「会議室」へと移動しました。
「本当に申し訳ない!魔が差したんだ!優香がいなくて寂しくて……でも、会って何かするつもりなんて本当になかったんだよ!」
達也はもう、言いのがれができないことを悟ったのか、ひたすら机に頭をこすり付けて謝罪をくり返していました。
「会うつもりはなかった…って、今まさに会おうとしてたじゃない。真奈美じゃなかったら、今ごろホテルにでも行ってたんじゃないの?」
私の冷静な追求に、達也は言葉を詰まらせます。
夫を成敗!親友とたのしいランチへ
私は条件を提示しました。
「今回は、離婚は保留しておく。おなかの子に父親は必要だから。でも、次はないと思って。もし、今後、一度でもあやしい動きがあったら…この全記録をあなたの両親と会社に送るから。いいわね?」
「……はい。誓います」
「あと、スマホの暗証番号を勝手に変えるのは禁止。GPS共有アプリも入れてもらうわ。それと……」
私は真奈美を見ました。
「今回の件で、真奈美には多大な協力をしてもらったわ。彼女への謝礼と、私の精神的苦痛への慰謝料として、今日の"打ち上げ"と、今後のマタニティ用品…全部、あなたのポケットマネーから出してもらうから」
数日後…私は真奈美と、都内でも指折りの高級ホテルのランチビュッフェにいました。
もちろん、支払いは達也のカードです。
「優香、本当にかっこよかったよ。あの時の達也さんの顔!動画に撮っておけばよかったね」
真奈美がわらいながらローストビーフを口に運びます。
「本当にありがとう、真奈美。あなたが気づいてくれなかったら、私、ずっとだまされてたかもしれない」
「いいよ、親友なんだから。でも、本当にゆるしていいの?」
私は窓の外をながめながら、静かに答えました。
「ゆるしたわけじゃない。ただ、"責任"を取らせることにしたの。彼が自分で言ったとおり、連絡を取る時点で"浮気"なんだから、相応の罰を受けてもらわないとね」

