「この不義理は一生背負っていかなければならないと思っています」
大阪府在住の50代男性・奈良のなんちゃんさんがそう語るのは、40年ほど前の思い出だ。

<奈良のなんちゃんさんからのおたより>
あれからもう38年も経ってしまいました。
あの時、お世話になった方に恩返しができていないことを悔やんでいます。
21歳だった私は友達と一緒にバイク2台で北海道を1周しました。
キャンプ場で近くのテントのおじさんが
フェリーで小樽に上陸した私たちは時計回りに北海道ツーリングを始めました。
経験したことのないほどの直線道路や、地図で林道を見つけては「国道、道道よりは林道の冒険でしょ?」と、オフロードバイク2台は北海道の大自然を満喫しながらツーリングを楽しんでいました。
その日は天塩町辺り、海沿いの利尻島が眺められるキャンプ場でテントを張り、夕食の支度をしていると、近くのテントのおじさんが「どこからきてるんだ?」「よかったらこっちに来て一緒に飲もう!」とお誘いいただきました。

貧乏学生だった私たち二人にとってはとても有り難いお誘いで、お言葉に甘えてお食事とお酒をしこたまご馳走になりました。
おじさんはご家族、ご親族とキャンプにこられており、当時中学生くらいのとてもかわいらしい娘さんが「お父さん、お兄ちゃんたちに無理にお酒を飲ませたらだめだよ」と気を使ってくれたことをよく覚えています。
その日、お腹いっぱいご馳走になり、酔っ払いながらなんとか自分たちのテントに戻り就寝しました。
関西弁の会話が面白いらしく...
翌朝、テントの外からの呼びかけで目が覚めると、おじさんに「この後、どこに向かうんだ?」と問われ、「稚内に向かいます」と答えると、こう言われました。
「うちの家が稚内だ、これから帰るから着いてこい。家で昨日のバーベキューの続きをするぞ」
こんなに有難い話はないぞ。ということでおじさんのご自宅にお邪魔しました。
いろいろ、たくさんお話をしました。私たち二人の関西弁の会話がとても斬新で面白かったようで「漫才を聞いているようだ」と楽しんで頂けたようでした。
お腹いっぱい朝ごはんをご馳走になり、「ありがとうございました。地元に戻ったら必ずお礼の菓子折りでも送らせていただきます」と、その時手元にあった箸袋におじさんの住所を書いていただきました。おじさんたちのあたたかいおもてなしに感謝しつつお別れをし、私たちは旅を続け、2週間後、無事に地元に帰りました。

帰ってすぐに「おじさんたちにお礼をしないとな!」と、箸袋を探しましたがあるはずのカバンの中に箸袋が見当たらない。
どこかに大事にしまいすぎたのかとも思いましたがどうしても見つからない......。
どうやら紛失してしまったようです。
「お礼をしなくては!」という思いはありながら連絡のしようがなくなってしまいました。
