宇宙でもここまで食べられる ある日のISSの献立
私がはじめてISSに滞在したときの、ある日の献立を紹介してみましょう。
◯朝食
・乾燥洋なし
・お吸いもの
・ブランチェックス(シリアル)
・ホワイトチョコがけ苺(フリーズドライ)
・オレンジマンゴードリンク
・ココア
◯昼食
・ビーフストロガノフ&パスタ
・ラーメン
・シーフードチャウダー
・アーモンド
・レモンティー
◯夕食
・照り焼きチキン
・カレー
・白飯
・トルティーヤ
・タピオカプリン
・パイナップルドリンク
・抹茶(砂糖入り)
どうでしょうか? 地上での食事にひけをとらない、もしくは地上よりも充実したメニューになっているのではないでしょうか。ISSに長期滞在しても食事に飽きる心配はほとんどないといえるでしょう。
ただ、食事のたびに300種類から自由に選べるわけではないので、その点には注意が必要です。
ISS用の宇宙食は、肉・魚類、野菜・スープ類、ドリンク類、フルーツ・ナッツ類、デザート・スナック類などの種類ごとに、16日間単位でパッケージ化されています。パッケージごとに内容は微妙に異なり、たとえば、Aというパッケージにはビーフストロガノフ&パスタが入っているけれど、Bというパッケージには入っておらず、代わりに照り焼きチキンが入っているという具合になっています。宇宙で栄養が偏らないように、と工夫されているわけです。
よって、一つのパッケージを開封したら宇宙飛行士はそれぞれ好きな食品を選んで食べ、完食したら次のパッケージを開ける。これが原則ですが、実際には、二つ~三つのパッケージを一気に開けていました(栄養士さん、ごめんなさい)。
「あのメニュー、誰が食べた?」宇宙で起きる小さな緊張
学校の給食にも人気のメニューとそうでないメニューがあったように、宇宙食にも人気があるメニューとそうでないメニューがあります。給食との違いは、宇宙食の人気メニューが人数分はないということ。一人の宇宙飛行士が人気メニューばかりを選んで食べていたら、当然、ほかの人は人気メニューを食べられません。
「今日は大好きなビーフストロガノフ&パスタを食べようと思ったのに、ノグチが食べやがった……!」なんて事態も起こりうるわけです。

クルーはみな大人ですから、表立ってケンカをしたりはしません。それでも、イライラ、ピリピリとした空気は察せられます。宇宙であっても食べものの恨みはこわいのです。
また、ISSには十分な宇宙食がストックされていますが、それでも数に限りがあります。なんらかのトラブルが起きて滞在が長引いたり、補給船がこられなくなったりしたら、ストックが尽きてしまうかもしれません。そのためISSでは、在庫をつねに意識しながら食事をしています。よって、食べたいだけ食べる行為も恨みを買うので要注意。
宇宙では、空気が悪くなったり、ケンカをしたりしても、別室に引きこもる、家出をするなんてことはできません。狭い空間で一緒に快適に過ごすためにも、みなさんも宇宙に行ったときには、食べものの恨みを買わないようお気をつけください。

