役割の違い
翌日、廊下で会った奥さんにこう言われました。
「優しいご主人で安心だね」
私は思わず、曖昧に笑うことしかできませんでした。
その夜も、夫は食事を済ませると、何も言わずに別室へ向かいます。
ドアが閉まり、またゲームの音が始まりました。
『看病のために早く帰る夫』
その言葉と、閉じたドア。
どちらが本当の姿なのだろうと、布団の中で天井を見つめました。
彼が外でそう言いたいのであれば、家でもその役割をまっとうしてもらえばいいのだと。
我慢をやめた日
それ以来、私は遠慮するのをやめました。
「洗濯お願い」「ごはん温めて」「ゴミ出して」
体調が悪いときは、はっきり頼む。
やってほしいことを具体的に伝える。
『いい夫』を名乗るなら、家でもそうであってほしい。
あの日は、夫を変えた日というよりも、私が我慢をやめた日でした。
察してもらうのを諦め、言葉にすれば、彼は彼なりに動いてくれることもある。
小さな一歩ですが、わが家なりの形が、そこから少しずつ整い始めています。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

