●キスやハグだけで慰謝料請求はできるか
──キスやハグでも、夫は精神ショックを受けるのではないでしょうか。
一般的に、自分の配偶者が別の異性とキスしたり、手をつないだりしていたと知れば、精神的苦痛を感じる人は少なくないでしょう。
ただし、繰り返しになりますが、判決文を確認できていないので、裁判所が請求を棄却した具体的な理由までは断定できません。
推測になりますが、裁判所は、妻が相手男性とキスしたり手をつないだりした行為が不貞行為にあたらない以上、この事案では「妻による不貞行為は存在しない」と判断した可能性があります。
また、報道によると、こうした行為が長期間続いたものでもない点も考慮されたとみられます。
その結果、慰謝料請求の前提となる違法行為が存在せず、損害賠償請求そのものも成立しないと判断されたのではないでしょうか。
●「キスだけで慰謝料」相談は多いのか
──「肉体関係があったかはわからないが、配偶者がキスやハグをしていたので相手に慰謝料を請求したい」という相談は多いのでしょうか。
「配偶者が別の異性とキスをしたり親密な関係にあったので慰謝料を請求したい」という相談を受けた経験は、私のこれまでの実務ではありません。
ただし、仮にそのような相談を受けた場合には、まず不貞行為の有無を検討します。そのうえで、男女としての親密さの程度を慎重に吟味し、証拠を十分にそろえるようお願いすることになると思います。
【取材協力弁護士】
玉真 聡志(たまま・さとし)弁護士
千葉県弁護士会で法律事務所を主宰。2013年弁護士登録。会社と従業員の労働問題、企業間トラブル(代金未払いなど)、ご家族の間で起きる法律問題(離婚、相続)を専門とする。「法律問題の解決を通じて、相談者様の幸せを実現する。」をモットーに、日々の業務に励む。
事務所名:たま法律事務所
事務所URL:https://tama-lawoffice.com/

