「ご立派になられて」──その一言の重み
「Bさん! お久しぶりです」
Cさんがそう声をかけた瞬間、Bさんの顔色が変わりました。
CさんはBさんが新人だった頃に勤めていた保育園の先輩保育士でした。右も左もわからず、何度も失敗を繰り返していた新人時代のBさん。そのたびに隣で一緒に考え、励まし、支え続けてくれたのが、Cさんだったのです。
「あの頃からずいぶんの時がたちましたね。ご立派になられて」
穏やかな笑顔でそう告げるCさんに、Bさんはただ小さくうなずくことしかできませんでした。その言葉は、指導者としての振る舞いを厳しく、かつ温かく問いかけるような響きを持っていました。
翌日から、指導が変わった
次の日から、BさんのAさんへの接し方は静かに変わりました。荒げた声は消え、言葉は丁寧になり、失敗したときにはそっと隣に来てフォローするようになりました。
それは単に体裁を整えたというより、Bさん自身が「自分がどう育てられたか」を思い出したかのような変化でした。
Aさんは理由を知りません。ただ「なんだか先生が変わった」と感じ、久しぶりに保育の仕事の魅力を感じる時間を取り戻しました。

