「家族の形」が変わったとき、私たちは自分自身のこと以上に、子供が世間の無邪気な視線にさらされることを恐れてしまうのかもしれません。これは、離婚という決断を経て、新しい一歩を踏み出した筆者と息子が、周囲の言葉に傷つかないための「心のお守り」を見つけるまでの物語です。
「心の準備」という名のお守り
離婚を経て、苗字も住まいも変え、すべてが一からのスタート。新しい環境で楽しく過ごしてほしいと願う反面、母として少しだけ気がかりだったのは、学校生活の端々で直面する「パパ」という話題でした。
子供同士の「パパは何してるの?」という無邪気な質問や、もし授業で「パパの絵」を描くことがあったら。そんなとき、息子が答えに詰まって悲しい思いをしたり、困ったりすることだけは避けたかったのです。
どう伝えれば彼が自然体でいられるか。そんなとき、心理学を学ぶ友人が大切なヒントをくれました。 「人が不安になるのは、答えを持っていないから。あらかじめ『回答』を用意しておけば、それがお守りになって、恐怖は消えるんだよ」という言葉です。
私は息子から父親という存在を消し去りたくはありませんでした。
たとえ離れていても、彼の大切なルーツの一つだからです。
そこで、私は「もし聞かれたら、こう言いなね」と、明るいトーンで一つの答えを授けました。
「パパは違うところに住んでいるだけで、ちゃんといるよ」
私は極めて明るく、前向きにこの答えを伝え続けました。
親がコソコソしたり申し訳なさそうにしたりすれば、子供は「父の不在」をネガティブに捉えてしまうと考えたからです。家庭の形は人それぞれ。だからこそ、堂々としていていいのだと伝えたかったのです。
事実を支える「感謝」の教え
この答えに温かみを添えるため、日頃からパパとのつながりもオープンに話しています。
定期的に面会交流で会えること、そしてパパが養育費を送ってくれていること。
「パパが頑張ってくれているから、今の生活があるんだよ」
そう伝え、息子自身からもパパに感謝の言葉を届けるようにしました。
その結果、パパの不在は息子にとって隠すべきことではなくなりました。
今、息子の中でパパは「欠落」ではなく、「遠くにいても自分を応援してくれる心強い味方」になったのです。

