宝くじの使い道に暗雲が立ち込める
結局、私は祥太の押しに負け、うやむやのまま家計からの支出を許してしまいました。それがまさか、数年の時を経て、こんな形で実を結ぶなんて。
「いやあ、やっぱり俺の直感は間違ってなかったんだ。ずっと欲しかった最新のスペックのPCも買えるし、キャンプ道具もあのメーカーのものに一新したいな。あと、ゴルフのドライバーも新調して…」
祥太の口から溢れ出るのは、すべて「自分」を主語にした願望ばかりでした。私は少しだけ、背中に冷や水を浴びせられたような気分になりました。
「ちょっと待って。家計から出していたお金で当たったんだよね? 毎月、食費や光熱費と同じ口座から引き落とされていた分だよ」
「え? まあ、そうだけど……。でもさ、数字を選んで、継続して買い続けたのは俺だろ? 執念の勝利っていうかさ。俺が買ってなきゃ、この200万は存在しなかったんだから、俺の手柄でしょ?」
その瞬間、部屋の湿度が数パーセント上がったかのように、空気が重くよどみました。宝くじという、本来なら手放しで喜ぶべき幸運が、私たちの足元に潜んでいた価値観のズレを、容赦なくあぶり出そうとしていたのです。
あとがき:心のシャッターが下りる音
「家計の夢」と言って生活費から出し合っていたはずなのに、当たった瞬間に「俺の金」と言わんばかりの態度。これ、世の妻たちが一番モヤッとする瞬間ではないでしょうか。
200万という金額は、人生を変えるほどではないけれど、本性を出すには十分すぎる額です。無邪気にはしゃぐ夫の横で、冷や水を浴びせられたような汐里の孤独な怒りに、思わず拳を握りたくなります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:糸野内たおる
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

