前頭側頭型認知症の進行速度
前頭側頭型認知症の進行の速さには個人差があります。一般的には、アルツハイマー型認知症よりも若い年齢で発症し、平均では発症してから8年ほどで死亡に至るとされています。
また、前頭側頭型認知症の進行は比較的速く、アルツハイマー型認知症と比べても生存期間が短いことが報告されています。アメリカで行われた大規模な多施設研究では、前頭側頭型認知症患者の診断時から死亡までの生存期間の中央値が4.2年でした。これに対し、アルツハイマー型認知症患者では6.0年となりました。このことから、前頭側頭型認知症はより早い進行を示し、適切なケアやサポートの重要性が高いことが分かります。
前頭側頭型認知症の進行別の症状
前頭側頭型認知症は、時間の経過とともに症状が悪化していきます。
前頭側頭型認知症の進行度を定量化するために、前頭側頭型認知症評価尺度(Frontotemporal dementia rating scale,FTD-RS)が開発されています。
これは、行動、外出や買い物、家事や電話の使用、金銭管理、薬の管理、食事の準備と摂取、自己管理と移動の領域にわたる30項目の質問票を使用します。
各項目は、介護者によって頻度が評価され、それらをもとに6つの重症度ステージに分類されます。ここでは初期、中期、末期の症状に分類して説明します。
初期症状
初期の段階は、FTD-RSでの非常に軽度(Very Mild)、軽度(Mild)の段階と言えるでしょう。
軽度の社会的行動の変化(社交性の低下、ルールを守れなくなる)や、些細な性格変化(無関心や感情の平板化)がみられます。また、軽度の金銭管理のミスや計画性の低下も現れてきます。家事や仕事のパフォーマンスが少し低下しますが、まだ自立可能です。
アルツハイマー型認知症とは異なり、初期の段階では記憶障害はそれほど強くはありません。
中期症状
中期の段階は、FTD-RSでの中等度(Moderate)、重度(Severe)の段階といえます。
行動異常(常同行動や脱抑制、暴言、異常な食習慣)が目立つようになります。また、言語の問題として、意味の理解が困難、会話が単調になることもあります。衛生管理が低下し、入浴を嫌がる、着替えをしないといった行動がみられることもあります。また、自分での食事管理が難しくなり、異常な食行動が目立つようになります。しかし、介助が必要な場面が増えるものの、まだ部分的に自立している状態です。
末期症状
末期の段階は、FTD-RSでの非常に重度(Very Severe)、深刻(Profound)に該当すると考えられます。
この段階では、完全に言葉を発しなくなり失語の状態になります。また、自発的な行動がほぼ消失し、無動性が目立ちます。嚥下障害が進行し、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。排泄管理が難しくなり、完全な介護が必要です。筋力低下により歩行困難、寝たきりになる可能性が高いです。

