前頭側頭型認知症の主な原因
前頭側頭型認知症の原因について、現時点で明らかになっている点について解説します。
前頭葉・側頭葉の神経細胞の変性
前頭側頭型認知症の病態としては、脳の前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性し、その部位の脳の働きが低下してしまうことにあります。例えば、行動障害が前面に出るタイプのbvFTDでは、MRIやCT検査で前頭葉や側頭葉の萎縮がみられます。一方で、頭頂葉や後頭葉の働きは保たれます。
異常タンパク質の脳内への蓄積
なぜ前頭葉や側頭葉の神経が変性してしまうのかについては完全には解明されていません。しかし、現時点では、神経細胞やグリア細胞に異常な蛋白質が蓄積し、細胞死を引き起こすのではないかと考えられています。例えば、神経細胞に蓄積する異常蛋白質としては、タウ蛋白、TDP-43蛋白、FUS蛋白などが同定されています。
家族歴
前頭側頭型認知症のリスクを高める唯一の因子として、家族歴があげられます。しかし、欧米では30~50%に家族例があるといわれていますが、日本ではほとんど認められません。家族性の前頭側頭型認知症の場合、タウ遺伝子、FUS遺伝子などの変異が見つかっています。
前頭側頭型認知症の治療法
根本的な治療法はまだ開発されていません。症状に合わせた薬剤を用いることが有効な場合があります。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
SSRIは、抗うつ薬として用いられています。前頭側頭型認知症の脱抑制や常同行動、食行動の異常などの行動障害に対し、SSRIが有効であったという報告があります。しかし、効果については現時点では限定的であり、また保険適応外であることに注意が必要です。
行動療法
精神症状や行動障害が目立つ場合、脱抑制や常同行動、食行動の異常が初期から見られます。こうした症状に細やかに対応し、社会的に許されるような行動へと置き換えていくことが可能な場合があります。デイケアや施設ケアでの取り組みのほか、家庭で介護する場合には、無理に行動を矯正せず、適宜訪問介護やレスパイトケアを活用することも良いでしょう。
抗精神病薬や抗てんかん薬
SSRIの他にも、抗精神病薬や抗てんかん薬が一部の症例で有効であったという報告もあります。しかし、これらの薬も保険適用外です。

