
北斎に挑む、現代アーティスト・福田美蘭
福田美蘭「北信五岳 信州小布施町」
福田美蘭「竜田川に紅葉の図」
北斎館が所蔵する「冨嶽三十六景」シリーズや、北斎が小布施で描いた晩年の傑作「上町祭屋台天井絵 男浪・女浪」、岩松院天井絵鳳凰図などの傑作をモチーフに、福田美蘭が独自の解釈と表現で生み出した新作北斎アート作品を一挙初公開します。
北斎の名作と向き合い、現代を生きる私たちへのメッセージとして昇華させた新作は約15点。単なるオマージュにとどまらず、真正面からぶつかり合う二者の対話が、この展覧会の最大の見どころです。
展示の見どころ
北斎の「怒濤図」を再解釈――命の根源に迫る新作
ー 福⽥美蘭「怒濤図」
福⽥美蘭「怒濤図」
上町祭屋台天井絵「男浪」(北斎館所蔵)
上町祭屋台天井絵「女浪」(北斎館所蔵)
小布施の祭屋台天井に描かれた「男浪」「女浪」をモチーフにした新作《怒濤図》は、二図を大胆に合体させた作品です。福田美蘭は「波に宿る生命の根源に迫ろうとする北斎の執着」に着目し、女浪の中に男浪の波飛沫が潜り込んでいくイメージを具体的な形として表現しました。北斎が描いた波をそのまま引用しながら、まったく新しい生命観を提示する意欲作です。
鳳凰を水で描く――《岩松院本堂天井絵 鳳凰図》
福田美蘭「岩松院本堂天井絵 鳳凰図」
岩松院の天井絵「鳳凰図」を、北斎漫画に描かれた水の表現へと変容させた作品も初公開されます。「鳳凰図は鳳凰の尾羽を思わせる」という着想から出発した福田美蘭は、火災から寺を守ることを願い、墨一色で構成された水の波形に鳳凰の姿を溶け込ませました。北斎と福田美蘭、それぞれの精神が重なり合う、静かで力強い一点です。
《日新除魔図》(全52図)
福田美蘭「日新除魔図 一月十八日 パトリオット迎撃ミサイル/実戦初使用日」
福田美蘭「日新除魔図 二月八日 トランプ離れ/支持率低迷」
福田美蘭「日新除魔図 四月十一日 放射線防護服/柏崎刈羽原発火災事故」
福田美蘭「日新除魔図 五月三日 プラスチックゴミ分別/ゴミの日」
福田美蘭「日新除魔図 八月廿六日 疱瘡除け/ふくろうの日」
福田美蘭「日新除魔図 霜月十五日 麻の葉の模様/七五三に着せる魔除けの柄」
北斎が83歳のとき、ほぼ毎日獅子を描いては家の外に捨てた「日新除魔図」。本展では福田美蘭がその精神を受け継ぎ、現代の日常の災いや不安をモチーフにした52図を制作。ミサイル、気候変動、パンデミック……現代に生きる私たちへの問いが、来館者が実際に手に取り持ち帰れる「装置作品」として展示されます。鑑賞するだけでなく、作品そのものを持ち帰れるという、他に類を見ない体験型の展示です。
《文字絵》
福田美蘭「文字絵」

大谷翔平選手は、2025年11月に3年連続のMVPを受賞し、50本塁打&50奪三振という二刀流復活を象徴とするW記録も達成。この挿絵掲載の11月9日の時点でMVP受賞はほぼ確実と予想され、結果待ちの状態だったので、大谷の姿に「うつ」「なげる」の隠し文字を入れ、江戸時代から伝わる文字絵とした。(コメント:福田美蘭)
《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
福田美蘭「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
誰もが知る北斎の代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を、左右に反転させた作品も見逃せません。木版画という技法ゆえ、北斎自身が決して目にすることのなかった映像を可視化した作品は、「当たり前」に潜む視覚の不思議を突いてきます。
《冨嶽三十六景 凱風快晴》凱風快晴》
福田美蘭「冨嶽三十六景 凱風快晴」
福田美蘭「冨嶽三十六景 五百らかん寺さざゐどう」
「冨嶽三十六景 凱風快晴」(赤富士)の新作では、画面を斜めから傾けると雲の中に別の図像が現れる「アナモルフォーシス」の技法を採用。「五百らかん寺さざゐどう」では欄干の中に「2026」の数字が隠されています。北斎が得意とした視覚的な仕掛けを現代的手法で継承する、遊び心あふれる作品群です。
