
唯一現存する明治五大監獄の貴重な建築
上空写真(平成31年時点)
旧奈良監獄は、1908年(明治41年)に近代化を目指した国の一大プロジェクトとして誕生しました。明治政府によって計画された五大監獄のうち、唯一現存する貴重な建築物で、2017年には国の重要文化財に指定されています。
山下啓次郎 氏
外観
設計を手がけたのは、数多くの裁判所や監獄の建設に関与した山下啓次郎氏。欧米約8カ国を歴訪し約30の監獄建築を視察した知見を活かし、西洋の装飾様式を取り入れた重厚で美しい建築を実現しました。赤レンガは当時の被収容者が刑務作業の一環として職人と共に作り上げたもので、室内は天井から光を取り入れた明るい空間となっており、人権を配慮したデザインが特徴です。
自らと対話し、生き方を見つめ直す体験を
外観
中央看守所
本ミュージアムのコンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。明治時代における近代化の背景と美しい建築と共に、監獄という「規律」が支配する空間での「問いかけ」を受けて、自由について考えを巡らす体験を提供します。訪れる人が自らと対話し、生き方をも見つめ直すきっかけとなる、新たなミュージアムのあり方を目指しています。
三つのテーマを設定した展示棟を巡り、多角的な視点から「問い」を深めていきます。
A棟:歴史と建築
赤レンガに刻まれた記憶に思いを馳せ、日本の行刑や奈良監獄の建築的特徴を知るエリアです。
B棟:身体と心
被収容者の視点で刑務所での生活やルールを紹介。規律に縛られた刑務所の生活を知り、想像し、客観的に見つめることで、自分自身の生き方に通じる「問い」に迫ります。
C棟:監獄と社会
「監獄」をさまざまな価値観や切り口で表現するエリア。開館時には、国内外で活動するアーティストが、監獄から受けたインスピレーションとそれぞれの感性で制作した作品を展開する予定です。
