宇宙でもやっぱりこわい「火災」 炎は上に向かわずに球状になる
宇宙空間には酸素がないため火災は起きませんが、ISS内には酸素があるため火災のリスクがあります。ISS内の電気設備がショートして火花が散り、近くにあった可燃物に燃え広がったら……? 無重力空間では空気の流れがほとんどなく、上昇気流も発生しません。そのため、炎は上に向かって広がらずに球状になります。球状の炎がどんどん大きくなる。想像するだけでぞっとしますよね。
逃げ場がない宇宙では、火災を起こさないことが第一です。したがってISSでは、火事の原因になりうるものは極力排除されています。
マッチやライター、ろうそくなど、裸火が露出する物品の持ち込みは禁止です。科学実験などで火を使わなければならないときは、二重、三重の耐火壁に囲まれた装置内で行います。そうすれば、仮に火が大きくなっても、装置内の空気を抜けば消火できます。
静電気も火災を招くリスクがあるので、静電気が起こりやすい化学繊維の服はNG。だからこそ、宇宙飛行士の船内服は綿100%が基本なのです。

ISSで火災を防ぐための徹底対策と防災訓練
前述のとおり、電気設備などがショートして火災につながるおそれもあります。そこで、ISSの電気設備は、可能なものに関してはISSの外に設置されています。必要がない実験装置なども外に置いたりします。酸素がない宇宙空間であれば、ショートしても発火する心配はないからです。さらに、宇宙飛行士がほとんど立ち入らない区画は、酸素濃度を低く設定しています。
ここまで徹底しても、火事の発生確率をゼロにはできません。ISSではありませんが、過去に存在したロシアの宇宙ステーション「ミール」で1997年に火災が起こっています。火災の原因は、酸素供給システムのバックアップ装置である酸素発生キャンドル(化合物を加熱することで化学的に酸素を発生させる缶)の異常動作でした。幸い火災は小規模だったのですぐに消火され事なきを得ましたが、キャンドルからの発煙でミール船内は黒煙が充満し、クルーは防護マスクを着用して消火活動にあたったそうです。
ミールでの船内火災はかなり深刻な事例ですが、ISSでもなんらかの故障で火災が起きたことを想定したマニュアルの整備とふだんからの消火訓練が行われています。ISSには無数の煙検知器が設置されており、それらの情報は中央コンピューターに送られています。いざ火災が発生したらすべてのモジュールに火災報知器が鳴り響き、クルーはただちに消火対応をはじめます。

