福祉用具貸与を検討し始めると、「どのような条件で利用できるのか」「要介護度によって使える用具は違うのか」など、制度の仕組みが分かりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか?福祉用具は生活を支える重要な役割を持つ一方で、介護保険ならではのルールや注意点があります。
本記事では、福祉用具貸与の条件について、以下の点を中心に解説します。
福祉用具貸与を利用できる対象者と条件
介護保険で借りられる福祉用具の種類と要介護度ごとの違い
福祉用具貸与を利用する注意点
福祉用具の貸与を正しく理解するためのご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
福祉用具貸与を利用できる条件

福祉用具貸与を利用できる対象者を教えてください
福祉用具貸与は、介護保険制度に基づくサービスで、利用できるかどうかは要介護認定の結果によって決まります。年齢と要介護認定区分の両方が、貸与可否を判断する基準となります。
利用の対象となるのは、次のような方です。
●65歳以上で、市町村の認定により要介護1〜5と判定された方
●40歳以上65歳未満で、特定疾病が原因となり要介護認定を受けた方
一方、要支援1・2と判定された方は、介護予防福祉用具貸与として一部の福祉用具のみ利用できます。
また、要介護認定を受けていない方や自立と判定された方は、介護保険を利用した貸与は原則として利用できず、全額自己負担です。
福祉用具貸与のメリットとデメリットを教えてください
福祉用具貸与には、介護の負担を軽減する利点がある一方で、利用にあたって注意すべき点もあります。特徴を理解したうえでの選択が大切です。
【福祉用具貸与のメリット】
●費用を抑えやすい
●状況に応じて変更や返却ができる
●点検や調整を任せられる
【福祉用具貸与のデメリット】
●要介護認定が必要
●使える品目に制限がある
●新品ではない場合がある
不安がある場合は、ケアマネジャーに相談し、購入との使い分けを検討するとよいでしょう。
要支援や要介護1で利用できる条件はありますか?
要支援や要介護1と判定された方は、軽度者として扱われます。軽度者の場合、心身の状態から使用が想定しにくい一部の福祉用具は、原則として福祉用具貸与の対象外です。
ただし、一定の条件を満たす場合には、例外的に保険給付が認められることがあります。
この仕組みは、例外給付と呼ばれ、利用者の状態や生活環境を踏まえて判断されます。
例外給付の可否は、次の観点から検討されます。
●要支援1・2、要介護1であっても、日常生活で移動や動作に明らかな支障があるか
●基本調査の結果や、主治医の意見から福祉用具の必要性が認められるか
●サービス担当者会議で、用具の利用が適切と判断されるか
なお、車いすや移動用リフトなど、一部の福祉用具は、基本調査だけでは判断できないため、主治医の情報や福祉用具専門相談員の意見を含めた総合的な検討が行われます。
このように、要支援や要介護1であっても、心身の状態に応じて福祉用具貸与が認められるケースはあります。
福祉用具貸与の対象となる福祉用具と利用条件

介護保険で貸与できる福祉用具の種類を教えてください
介護保険を利用した福祉用具貸与は、あらかじめ定められた13種目の福祉用具をレンタルできます。いずれも、日常生活の自立支援や介護負担の軽減を目的とした用具で、自治体から指定を受けた事業者を通じて貸与されます。利用できるかどうかは、要介護度や心身の状態に応じて判断されます。
介護保険で貸与できる主な福祉用具は、次のとおりです。
●車いす
●車いす付属品
●特殊寝台
●特殊寝台付属品
●床ずれ防止用具
●体位変換器
●手すり
●スロープ
●歩行器
●歩行補助つえ
●認知症老人徘徊感知機器
●移動用リフト
●自動排泄処理装置
実際に利用できる種類や条件は個別に異なるため、ケアマネジャーと相談しながら、自身の状態に合った福祉用具を選ぶことが大切です。
要介護度によって使える福祉用具は決まっていますか?
要介護度によって、介護保険で貸与できる福祉用具は決まっています。厚生労働省の告示に基づき、福祉用具ごとに利用できる介護度の範囲が定められており、すべての用具を誰でも使えるわけではありません。
介護保険制度では、介護度が上がるほど選択できる用具の範囲が広がる設計です。
【要支援1・2、要介護1から利用できる主な福祉用具】
●手すり(工事を伴わないもの)
●スロープ(工事不要の段差解消用)
●歩行器
●歩行補助つえ
●自動排泄処理装置(尿のみを吸引するタイプ)
【要介護2〜5で利用できる主な福祉用具】
●車いす、車いす付属品
●特殊寝台(介護用ベッド)、付属品
●床ずれ防止用具
●体位変換器
●認知症老人徘徊感知機器
●移動用リフト
●自動排泄処理装置(尿や便を吸引するタイプは要介護4・5)
なお、要支援や要介護1の方であっても、心身の状態によっては例外的に利用が認められる場合があります。利用可否は、ケアマネジャーが中心となり、状態や生活環境を踏まえて判断されます。

