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なぜ?絵が「額縁」に入っている3つの理由とは

ルネサンス期の変革

サンタ・アゲダ(ラモン・オスカーリス)サンタ・アゲダ(ラモン・オスカーリス), Public domain, via Wikimedia Commons.

15世紀のルネサンス期に入ると、額縁の世界に大きな変化が訪れます。
それまで教会に固定されていた絵画が、持ち運び可能な独立した芸術作品として扱われるようになったのです。この変化は「ポータブル・フレーム(portable frame)」や「コート・フレーム(court frame)」と呼ばれる新しいタイプの額縁の登場を促しました。

この時期、芸術のパトロン(支援者)は教会だけではなくなり、裕福な貴族や商人たちが自邸に飾るための絵画を注文するようになります。
彼らにとって額縁は、単なる装飾品ではなく、自身の富と権力を誇示する象徴でした。額縁に施された精巧な彫刻や象徴的なモチーフは、所有者の社会的地位を物語る重要な要素だったのです。

ルネサンス期のイタリアでは、「カッセッタ(cassetta)」と呼ばれる額縁様式が人気を博しました。
これは「小さな箱」を意味する言葉で、当時の裕福な家庭が嫁入り道具を収める「カッソーネ(cassone)」という宝箱から着想を得たものです。絵画を「宝物」として扱う考え方が、この時期に確立されたと言えるでしょう。

サン・ザッカリア宮 - ジョヴァンニ・ベッリーニ - ヴェネツィアサン・ザッカリア宮 - ジョヴァンニ・ベッリーニ - ヴェネツィア, Public domain, via Wikimedia Commons.

さらに注目すべきは、額縁のデザインが古代ギリシャ・ローマ建築の要素を取り入れ始めたことです。
柱や破風(はふ)、装飾的な帯状の部分など、古典建築の特徴が額縁に応用されました。
Giovanni Bellini(ジョヴァンニ・ベッリーニ、1430年頃-1516年)の《San Zaccaria Altarpiece(サン・ザッカリア祭壇画)》(1505年)は、この傾向の頂点を示す作品です。

石造りの額縁の要素が絵画の中の建築空間へとシームレスに続いており、額縁と絵画が一体となって見る者を聖なる空間へと誘います。

額縁制作の専門化

ルネサンス期のもう一つの重要な変化は、額縁制作が専門化したことです。
それまでは画家や彫刻家、建築家が額縁もデザインしていましたが、次第に家具職人が額縁制作を手がけるようになります。彼らは芸術性と実用性を兼ね備えた額縁を生み出し、より効率的な制作方法を開発しました。

コストと時間のかかる手彫りに代わって、17世紀には「コンポジション(composition)」または「コンポ(compo)」と呼ばれる素材が登場します。
これは亜麻仁油、樹脂、膠、チョーク粉末を混ぜ合わせた素材で、熱いうちに型に押し付けることで装飾的な模様を作ることができました。
この技術革新により、より多くの人々が装飾的な額縁を手に入れられるようになったのです。

配信元: イロハニアート

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