私には現在施設にお世話になっている祖母がいます。祖母は施設に入る前、昔ながらの近所付き合いが残っている地域で、数軒先の面倒見の良い方やヘルパーさん、隣の市に住んでいる母の力を借りて自宅で独居生活をしていました。私もたまに顔を出していたのですが、ある日、救急車を呼ぶ事態に直面しました。
たまたま母を送って行った日のこと
母は自動車の運転免許を持っておらず、祖母の家には電車と徒歩またはバスで行っていました。私は母と同居していなかったものの、比較的近い所に住んでいたので、たまに用事で近くに行く際は母を祖母宅まで車で送っていくことがありました。
その日も祖母宅の近くで用事があったため、母を乗せて、午前中に祖母宅へ行きました。祖母はそのころ既に認知症が始まっていて、日によって体調や反応にも随分波があったのですが、その日は比較的調子の良い日だったのを覚えています。祖母と少し会話をし、用事が終わったらまた寄ることを告げて、私は祖母宅を後にしました。
用事とお昼ごはんを済ませ、祖母宅へ向かっているとき、母から電話が入りました。それは「トイレに入った祖母からの応答がおかしい。すぐに来てくれないか」というものでした。
到着すると、母がトイレのドアをたたいていた
慌てて祖母宅に行きトイレに行ってみると、母がドアをたたきながら中に呼びかけており、中からは小さな声が聞こえました。元々祖母は小さな声でぼそぼそと話すことが多かったので、扉越しで聞き取れないこと自体はあまり違和感を覚えなかったのですが、どうやらトイレに入ってから15分ほどはたっているとのこと。
さすがに心配になった私たちは、思い切ってドアを開けることにしました。幸い扉は木製で、手前に引くようになっていたので、工具を持って来て蝶番を外し、扉を外すと、祖母が便器に座ったまま、うなだれていたのです。声をかけると、「うう」と声を上げるものの、明らかにおかしい様子。下から顔をのぞき込んでみると、顔色はかなり悪く、目をつぶっており、口から少し泡を吹いていました。
慌てて119番に通報をし、救急車を依頼。同じ女性として、せめてパンツだけははかせてあげたいと思ったのですが、「動かさないほうが良い」という受付の方の言葉もあり、体勢を変えることは断念しました。便器の中を見ると便が残っていて、それについても「回収するかもしれないから」とのことで、そのままに。とりあえず汚れたおしり周りをウェットティッシュで拭いて、ビニール袋に入れて置いておきました。

