
松村沙友理と白洲迅が、10月4日よりLeminoで配信開始したオリジナルドラマ「今日もふたり、スキップで」にてW主演を務めている。同作は、ものすごい愛が手掛けたエッセー「今日もふたり、スキップで ~結婚って“なんかいい”」(大和書房刊)を原作に、WEBエンジニアの夫(白洲)とドラッグストアで働く妻(松村)が新居で営む、平凡だけど幸せな夫婦生活を描いたドラマ。同い年であり、これが初共演となる松村と白洲が、撮影の裏側から互いの素顔、キャリアの転機までをユーモアたっぷりに語り合った。
■松村「せりふのテンポ感は特に意識しました」
――最初に脚本の感想を教えてください。
松村:すごくほっこりして面白いなと感じました。ただ、この独特の面白さを映像で伝えられるか、少し不安もありました。せりふの掛け合いが中心なので、そのテンポ感は特に意識しました。
白洲:脚本を読んで「やりたい!」と強く思いました。クスッと笑えて心が癒される作品ですね。
――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
白洲:松村さんが現場の空気をすごく良くしてくれました。スタッフさんから「姫」って呼ばれていましたからね。彼女が中心にいてくれたからこそ、あの心地良さが生まれたんだと思います。
松村:でも私、せりふを早口で言っちゃう癖もあるんですよ。掛け合いも白洲さんにテンポを合わせていったおかげで、ほっこりできる映像になりました。台本ではつかみきれていなかった部分も、現場で白洲さんと会話するうちに自然と妻としての感情が生まれました。
白洲:僕らも“初めまして”だったからこそ、一緒にお芝居を深めていく過程で、この夫婦に“あるある”と共感できたと思います。
――演じた夫と妻それぞれの魅力や、ご自身と似ていると思うところは?
松村:妻の喜怒哀楽がはっきりしているところは似ていますが、夫に何でも言えて、自分の世界に巻き込める関係がすてきです。私も好きなことやこだわりはあるんですが、乃木坂46という大所帯にいたので、周りに合わせて少しは個性を抑える術が身に付いていて(笑)。
白洲:確かに、妻ほど振り回す人ではないですよね。
松村:原作を読んで、彼女が夫に冷たそうな態度を取るときに「何で?」と思っていたんですけど、この夫婦は何があってもお互いが大好きなんだと分かると、それすらもいとおしくなってきました。
白洲:夫はとにかく温厚で仏のような人です。何があっても怒らず穏やかで、相田みつをさんのような名言が飛び出したり(笑)、小さな幸せを見つけるのが最高に得意な人。僕自身はネガティブで落ち込みやすいので、彼のように穏やかでいたくなります。

■白洲、松村の印象は「お芝居は真面目だし、自然体で落ち着いた方」
――アドリブも多かったそうですね。
白洲:結構むちゃ振りが多かったですね。第1話で妻が豪快ないびきをかいていますが、あれもその一つで。
松村:「私の普通のいびきだと、かわい過ぎるから」って言われちゃって(笑)。
――妻がいきなりベッドから転落していましたよね。松村さんご自身の寝相はいかがですか?
松村:子供の頃は旅行に行くとホテルのベッドからよく落ちていましたが、大人になってからは地方のお仕事でも落ちなくなったので、寝相は良くなったと思います(笑)。あと、アドリブといえば、妻が家を出るときに夫と「じゃあ!」と声を掛け合うやりとりが自然に定着しました。台本にはないやりとりで白洲さんとやってみたのですが、そのおかげで夫婦らしい空気感も強くなりました。
――お二人は同い年で、これが初共演。お互いの印象は?
松村:実は別のドラマで白洲さんが告白しているシーンを見ていたので、クランクインしてすぐの頃に「告白していましたよね?」って言っちゃいました。その状況で夫婦役をやったので、内心ムズムズしていたかも(笑)。
白洲:ちょっと複雑だったけど(笑)、感情移入して見てくれたのならうれしいです。松村さんこそ、テレビのハツラツとしたイメージから「どんな人かな」と想像していたんですが、お芝居に真面目だし、自然体で落ち着いた方でした。
松村:でもテレビに出ているときも、実は暗いんですよ(笑)。みんなが勝手に明るいと思っているだけで。
白洲:いや、そこがすごいんです。カメラが回っていなくてもナチュラルにあの明るい振る舞いができる。今も現場でもテレビで見ても、ずっとこのテンションなんです。

■同い年で仕事のキャリアもほぼ同期…それぞれの転機は?
――実は松村さんの乃木坂46加入と、白洲さんの俳優デビューも同じ年(2011年)とのことですが、キャリアの「転機」を挙げるなら?
白洲:僕にとっては、ドラマ「刑事7人」(テレビ朝日系)ですね。刑事の野々村拓海役として、シーズン4からの参加だったんですが、この作品での経験がなかったら、と思うとちょっと怖いくらい、得たものは多かったです。
――シーズン4の初登場からシーズン9の完結作まで、足かけ6年演じられましたね。
白洲:おかげで刑事や警察官の役をやらせていただくことも増えました。主演の東山紀之さんをはじめ、北大路欣也さん、吉田鋼太郎さんといった大先輩に囲まれていたので、役者としても人間としてもすごく鍛えてもらって。僕にとって絶対必要な時間だったんだと思います。
松村:私は映画「ずっと独身でいるつもり?」(2021年公開)を挙げたいです。ふくだももこ監督のおかげで、殻を破れた感覚がありました。
――メガホンをとったふくだ監督と、どんなやりとりが?
松村:私は鈴木美穂というパパ活女子の役でしたが、ふくだ監督から「(普段の生活で)演じているのに、お芝居でさらに演じようとして二重になっている」と言われたのを覚えています。
当時はその意味が完全には分からなかったんですが、10年以上乃木坂46にいたので、アイドルとして24時間「かわいくいないと!」というように、人からの見られ方を無意識に気にしていたんだと思います。
それこそ昔の素の自分がどうだったのか分からなくなるくらいに。それに気付いて「他人にどう思われても、自分の心の持ちようって別なんだ」と、無理に自分を飾ることがなくなりました。
――作品にちなんで、日常生活において「幸せだな」と感じる瞬間は?
松村:テレビを見ているときが最高ですね。実はYouTubeやTikTokはほとんど見なくて、たまたまテレビを見ていたら面白い番組に出合えるように、トレンドは追うより出合いたい派です。
白洲:僕は間違いなく「食べているとき」ですね。究極、人は食べるために働いているんだと思います。特に“二郎系”などラーメンが大好きで、このために日々頑張っているようなものです。
――白洲さんも食べることが好きなら、グルメな松村さんとも盛り上がれそうですね。
松村:でも、私は何でもおいしくなっちゃう派なので、詳しいかどうかとは別問題かも(笑)。
白洲:そんなことないですよ(笑)。僕も食にこだわるときはこだわるけど、松村さんもご飯のプロですから。
オリジナルドラマ「今日もふたり、スキップで」(全10話)は毎週土曜深夜0:00にLeminoで最新話配信中。
◆文=大宮高史

