便利になっても、心は満たされない…
祥太はその後、自分の取り分である50万円で、真っ先に最新のゴルフセットをフルパッケージで買いそろえました。
「明日、部長たちと回ってくるわ! 道具がいいとスコアも上がりそうだしさ」
そう言って、ピカピカのバッグを担いで意気揚々と出かけていく彼の後ろ姿を見送りながら、私は一人、新しく届いた冷蔵庫の前に立ち尽くしていました。
高機能な冷蔵庫、静かな洗濯機。家の中は便利になったはずなのに、私の心はどんどん削られ、貧しくなっていく。自分だけが、夫の幸運を素直に喜べない「器の狭い妻」に成り下がってしまったような孤独感に苛まれていました。
お金は確かにある。けれど、夫婦の絆という、目に見えない資産が音を立てて崩れていくのが分かりました。
あとがき:感謝の強制は、幸福を削る
外れている時は黙って家計を蝕み、当たれば英雄気取り。この「後出しジャンケン」的な卑怯さが、一番の毒になります。母にまで「感謝しなきゃ」と言われてしまう汐里の逃げ場のない息苦しさ。ピカピカの冷蔵庫の前で立ち尽くす彼女の姿は、お金で買える豊かさと、心で感じる豊かさが全く別物であることを静かに、そして残酷に突きつけてきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

