■「育休取るよね?」上司のその一言が、迷いを消した
――まずは、育休を取得しようと思ったきっかけを教えてください。
湯浅さん 以前から子どもが欲しいという気持ちは強く、できるなら子育てに没頭する時間を持ちたいと一人目が生まれる前から考えていました。 ただ、いざ妻の妊娠がわかったときは、部署を率いる立場ということもあり、一時的とはいえ育休を取得するとチームメンバーに負担をかけてしまうことから、「本当に休んでいいのか」という葛藤がありました。一人目の出産前はちょうど組織変革の途中で、チームとしても成績が落ち込んでいた時期でしたし…。さらに、年齢的に育休を取ることへの“照れ”のようなものも正直、あったんです。
――その葛藤や迷いをどうやって解消されたのですか?
湯浅さん 最終的に背中を押してくれたのは、当時の上司でした。 妊娠を報告した際、すぐに「育休、取るよね?」と言ってくれたんです。 その上司自身も仕事をしながら育児にしっかり関わっている方で、「1日1日、子どもの表情は変わっていくよ」など熱心に話してくれて、育休を取得したほうが、そういったかけがえのない時間をより過ごせるんだなと具体的なイメージが湧きました。
また、上司は単に「休んでいいよ」と言うだけでなく、いつ休むか、自然分娩と帝王切開、それぞれの場合のスケジュール、チームの連携や引き継ぎまで詳細なプランを一緒に考えてくれました。 その強力な後押しがあったからこそ、「よし、取ろう」と前向きに決断できたんです。

「AKOi Heartという、常に赤ちゃんのお腹の動きをモニターするデバイス。息をしているか心配ですが、何かあればアラートで知らせてくれるので、親がしっかり眠ることができました」(湯浅さん)
■育児は「プロジェクトの立ち上げ」と同じ。最初の1ヶ月が肝心
――第一子、第二子ともに「誕生直後の時期」の育休取得にこだわった理由はありますか?
湯浅さん 一人目のときは、育児がまったくわからない状態からスタートしますよね。 その時期に1人ですべてを請け負うのはかなり負荷がかかると思います。そんな「立ち上げ」の時期に夫婦2人で一緒になって話し合い、ルールを作っていくことが、その後の生活を円滑にする上で非常に重要だと思いました。
――「育児の立ち上げ」、ビジネスパーソンらしい表現ですね。
湯浅さん 「立ち上げ」という言葉は仕事でよく使っているので、出てきた言葉ですが……(笑)。でも、仕事の立ち上げと感覚としては似ていると思っています。
例えば、おむつの替え方一つとっても、最初はまったくわからないわけです。もちろん、ネットで調べれば方法はいくらでも載っていますが、夫婦としての「テープはこれくらいのきつさがベストだよね」という感覚は、一緒にやっていないと共有できません。 そういった最初の立ち上げ期をともに経験することで、「ママにしかわからない」「パパは手伝うだけ」という状況を防ぎ、いわゆる「阿吽の呼吸」に繋げることができました。
――実際に、育休中はどのような役割分担をされていたのでしょうか?
湯浅さん 基本的には「1から10まで全部やる」と決めていました。 ミルクをあげる、寝かしつける、夜泣きで起きる、おむつを替える……。 母乳以外のことはすべて自分が対応できるようにしました。
――赤ちゃんの深夜のお世話も、パパが担当されていたのですか?
湯浅さん 妻と交代で行うことが多かったです。 「今日はどちらかがしっかり寝る日」と決めて分担し、担当した日は日中に寝かせてもらったり。 ただ、自分には授乳という“武器”がないので、困りました。 寝かしつけのときに泣き止まなくて、家の中をぐるぐる歩き回ったり歌ったりしながら、自分なりのやり方を見つけるまで試行錯誤した1ヶ月でもありました。

「育休中の次男の沐浴の様子。妻の実家が遠方なので、里帰りせずに乗り切りました」(湯浅さん)
