事前のアレルギー検査を勧めない理由
崎谷
アレルギーって、特定のアレルゲンに反応する人としない人がいて、する人は少しでもその物質が体に入ったら反応しちゃう、みたいな印象があったんですけど、そうではないんですね。
工藤
皆さんもアレルギーの血液検査をすると、何かしらの項目で陽性反応は出るかもしれません。でも、症状は出ていないということがある。それが食物だった場合、食べているのに症状が出ていなければ、問題ないので食べ続けて大丈夫です。
崎谷
そうか、花粉症もずっと症状がなかったのに、途中から発症したりしますもんね。アレルギーを持っているかどうかではなく、発症するかどうかが問題なのか。
工藤
そうなんです。だから、離乳食を始める前にアレルギーの血液検査をするのはおすすめしません。お子さんが採血で痛い思いをするだけで、知っても特にできることはないからです。むしろ、アレルギーがあると思って、その食材を避けてしまうほうが問題です。たまに、検査で卵アレルギーの項目が陽性だったからと、卵を食べずにきてしまったお子さんが病院に来ることがあります。1歳くらいならまだしも、それで5歳まできてしまうと大変。
崎谷
そこから食べ始めると発症してしまうんですか?
工藤
いえ、むしろ発症しない確率の方が高いので、食べてほしいんですけど、子どもが「自分は卵アレルギーだ」と頑なに思っているから食べられないんです。だってずっと親に「卵は食べちゃダメ!あぶない!」って言われていたのに、急に食べていいと言われても口に入れられないですよね。
山口
それは確かに厳しい…。食べるのがこわいですよね。
工藤
拒否反応がすごいんです。だから、簡易負荷試験のようなかたちで、病院内で卵を少し食べてみることから始めます。こういう時にいいのはカレーですね。カレーに入れると何の食材かよくわからなくなるので(笑)。それで、食べてみて大丈夫だったら、「いま卵を食べたんだよ、大丈夫だったね」と伝える。卵を避けて生活するのは大変ですし、良質なたんぱく質なので、食べられるなら食べたほうがいいですよ。それでもし、アレルギー反応が出るようであれば、病院で栄養指導も入れて少しずつどこまでなら食べられるのか、負荷試験をして探っていく。親御さんには、「アレルギーだったらどうしよう」と悩まずにまずは食べさせてみて、もし反応が出たら医師と一緒に対応を考えていきましょうと伝えたいです。
山口
でも神経質になる人が増えるのもわかります…。今はSNSで情報が入ってきてしまうから、そちらに意識が引っ張られてしまうんですよね。
工藤
SNSは人の不安を煽る投稿の方が注目を集めるので、バイアスはかかっていますよね。それを意識しないと、子育て中の人はSNSの沼にハマってしまいがちです。
ただ、どういう症状が出るか、出た時にどうしたらいいかという知識は持っておく必要があると思います。出た場合は病院を受診して相談すればいいので、むやみに不安になることはないですよ。
(後編に続く)
