「成長がゆっくりなだけ」だと思っていた低身長の背景に、ホルモンの異常など、内分泌疾患が隠れていることがあります。そこで見逃しやすいサインや代表的な病気、早期発見の重要性について、金城こどもクリニックの金城先生に話を聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
金城 健一(金城こどもクリニック)
2011年浜松医大医学部卒業。2013年浜松医科大学小児科へ入局。関連病院(中東遠総合医療センター、聖隷沼津病院、磐田市立総合病院、遠州病院、富士宮市立病院)で勤務。2017年国立成育医療研究センター(内分泌代謝科)フェロー。2020年浜松医療センター、2022年浜松医科大学を経て2025年金城こどもクリニック開院。日本小児科学会認定小児科専門医・指導医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科(小児科)専門医・指導医。
低身長の子どもに多い内分泌疾患とは? なぜ低身長になるのか?
編集部
内分泌疾患とは、どのような病気ですか?
金城先生
そもそも内分泌とはホルモンを内分泌器官で作らせ、血液とともに全身へ運んだり、各器官の働きをコントロールしたりする仕組みのことです。そして内分泌疾患は、成長や代謝を調整するホルモンの分泌や働きに異常が起こる病気です。子どもの成長には成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどが深く関わっており、成長ホルモンや甲状腺ホルモンが不足・過剰になると、身長の伸びに影響が出ます。とくに小児期はホルモンの影響が大きく、内分泌の異常があると、本来の成長スピードが保てなくなる場合があります。
編集部
なぜ内分泌疾患があると低身長になるのですか?
金城先生
身長の伸びを決める成長ホルモンや甲状腺ホルモンの不足により、骨の成長が十分に進まなくなるからです。骨の成長が滞ることで、年間の身長増加量は少なくなります。また、これらのホルモンの異常は全身の代謝にも影響を及ぼし、体重が増えにくくなったり、疲れやすくなったりすることもあります。こうした状態が続くことで、成長曲線から徐々に外れていき、低身長として目立つようになります。
編集部
内分泌疾患によって低身長になるケースは多いのでしょうか?
金城先生
低身長の原因として最も多いのは遺伝や体質です。しかし、一定の割合で内分泌疾患が隠れている場合があります。頻度としては決して多くはありませんが、見過ごすと治療のタイミングを逃してしまう可能性があります。そのため成長の経過を丁寧に追い、必要に応じて内分泌の評価をおこなうことが重要です。
編集部
体質性低身長との違いはありますか?
金城先生
体質性低身長(遺伝や持って生まれた体質により身長が低い状態)では、成長曲線に沿ってゆっくりでも安定して身長が伸びていきます。一方、内分泌疾患は、成長のスピードが途中から急に落ちたり、成長曲線を下回ったりすることが特徴です。身長の高さだけでなく、身長の伸び方を確認することが、体質性低身長と内分泌疾患を見分けるポイントになります。
どんな疾患がある? どんな症状が見られたら要注意?
編集部
低身長と関係する代表的な内分泌疾患はありますか?
金城先生
代表的なものに成長ホルモン分泌不全症、甲状腺機能低下症があります。どちらの疾患も、年齢の割に背が伸びない、成長曲線から外れるといった症状が見られます。
編集部
成長ホルモン分泌不全症の特徴を教えてください。
金城先生
成長ホルモン分泌不全症は、乳幼児期から身長の伸びが緩やかで、年齢に比べて小柄な状態が続きます。体重は比較的保たれることも多いので、見た目だけでは気づきにくい場合があります。成長曲線を見ると、徐々に平均との差が広がっていく傾向が多く見られます。
編集部
甲状腺の病気ではどんなサインがありますか?
金城先生
甲状腺機能低下症では、身長が伸びにくいだけでなく、疲れやすい、元気がない、むくむ、寒がりになる、便秘になる、集中力が低下するといった全身の症状が見られることがあります。ただし、成長への影響よりもほかの症状が前面に出てくる傾向にあり、「気がついたら身長の伸びが減っていた」というケースが少なくありません。そのため、身長の成長だけでなく、日常生活における様子の変化にも注意する必要があります。
編集部
身長以外で注意すべき症状もあるのですね。
金城先生
はい。身長の伸びに加え、体重の増え方が不自然、思春期が極端に遅れている、顔つきや体つきの変化がある場合は要注意です。例えば成長ホルモン分泌不全症の場合、おでこが張り出ている、鼻の付け根が低いといった変化が見られることもあります。また、学校生活での疲れやすさや学習面の変化も、ホルモン異常のサインとなることがあります。
編集部
いろいろな変化があるのですね。
金城先生
ただし、先述した症状は重症例で見られる傾向にあり、軽症の場合ははっきりとした変化が現れないケースも少なくありません。「身長の伸びが思わしくない」といったわずかなサインしか出ないこともあり、病気が見つかりにくいケースもありますので、少しでも気になることがあれば、早めの受診を心がけましょう。

