良かれと思って続けている「タイパ重視」の生活が、実はあなたの脳を壊しているとしたら……?
脳神経外科医の菅原道仁さんは、現代人の脳が「かつてない情報過多」によって悲鳴を上げていると指摘します。
私たちの脳内に住む「4人の担当者」のうち、今もっとも疲弊しているのは誰なのか。マッキンゼーの調査や脳科学の知見から明らかになる、効率を求めるほど理想の幸せから遠ざかってしまう「脳のしくみ」を解説した『ゆるまる脳 タイパ疲れの時代に効く「脳の新習慣」』から、一部を抜粋してお届けします(リンク先はAmazonページに遷移します)。
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タイパを追うほどなぜか満たされない理由
ここから、脳とタイパにまつわる話を始めましょう。
最初に大切なポイントを言ってしまうと、僕たちの「脳」は、タイパを追えば追うほど、望む人生から遠ざかるしくみになっている、ということ。 幸せになるためにタスクを詰め込み、効率を上げようとがんばるほど、なぜか理想の幸せからズレていきます。
それって……なんだかむちゃくちゃ虚しくないですか?
だって、みんな幸せになりたくて、がんばってるのに!
でも、それが、脳のしくみ上、起こりやすいパラドクスなのです。
なぜ、タイパ重視の行動は裏目に出やすいのか。
そもそも、どうしてタイパを追い求めたくなってしまうのか?
その理由が、僕たちの脳内で起きているバランスの乱れにあるのです。

僕たちの脳には4人いる
僕たちの脳は、ざっくり言うと、次の4つの機能を使って、情報を処理していると言われます。
①扁桃体
②前頭前皮質を中心とする、サリエンス・ネットワーク(SN)
③外側前頭前野を中心とする、セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)
④内側前頭前野を中心とする、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
聞いたことがあるものもあれば、そうでないものもあるかもしれませんね。
それぞれが何をしているかというと、こんなことをしています。
①扁桃体……不安な情報に気づいて、警報を発令
②サリエンス・ネットワーク(SN)
……すべての情報のうち「何が重要か」を瞬時に判断
その上で、次の③④のどちらを活性化させるか決める
③セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)
……脳内の「行動担当」。計画・実行・効率化などを担う
④デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
……脳内の「内省担当」。自己理解、他者理解、創造などを担う
そう、僕たちの脳には4人いるのです。

