奏斗くんママも過去、美容師として「搾取」に遭い職を離れていた。彼女の励ましで敦美は自信を取り戻す。自滅した蘭子とは対照的に、プロ意識を認められた敦美のサロンは繁盛し、新たな絆と共に再出発を果たす。
ママ友も同じようなトラブルを経験していた
「実は私、奏斗が生まれる前まで美容師だったの」
奏斗くんママの言葉に、私は驚きました。
「やっぱり、あったんですか? 似たようなトラブル」
「ええ、数えきれないくらい。髪切って、染めて、トリートメントして……『友達なんだからサービスしてよ』って。一度受けると、それが当たり前になっちゃうのよね。結局、本当の友達は去っていって、利用したいだけの人だけが残る。だから私、美容師辞めちゃったの」
彼女は私の手を取り、真剣な表情で続けました。
「だから、敦美さんには辞めてほしくない。自分のスキルの対価で生きてるんだから、もっとプライドを持って。あなたの技術は、あなただけの宝物なんだから」
「友達価格なら友達技術。……その言葉、胸に刻みます。本当にありがとうございます」
私は心から笑うことができました。
大切なお客様が増えていく
その後、蘭子さんは他のママ友たちにも同じような無理強いをしていたことが発覚し、自然と園内での居場所を失っていきました。
人づてに聞いた話では、結局安いセルフネイルに手を出して爪をボロボロにしてしまい、皮膚科に通う羽目になったとか。まさに「安物買いの銭失い」です。
一方で、私のサロンには変化がありました。騒動を知った他のママたちが、「敦美さんのプロ意識、信頼できるね」と言って、正規の料金で予約を入れてくれるようになったのです。奏斗くんママも、大切なお客様の一人になってくれました。

