雪の中で理人を抱きしめる智美。そこへ通りがかりの男性が現れ、極寒の中に放置されていた惨状を厳しく指摘される。男性はすでに警察へ通報しており、パトカーの赤い光が智美の罪悪感を容赦なく照らし出す。
泣き叫ぶ末っ子の姿。一体なにが…
「理人! 理人!」
私は雪の上に崩れ落ちるようにして、理人を抱きしめました。理人の体は氷のように冷たく、ガタガタと震えています。
「……ママぁ、ママぁ……! おえっ、うわあああん!」
理人は私の服をちぎれんばかりに掴み、顔を埋めて泣き続けました。
「お母さんですか?」
低い、落ち着いた声が頭上から降ってきました。見上げると、傘を差した中年の男性が厳しい表情で私を見ていました。
「は、はい……すみません、本当にすみません! すぐに戻るつもりで……」
「この子、2〜3分はこの雪の中で泣いていましたよ。家の中から声が聞こえたのかと思ったら、自分でドアを開けて出てきたみたいで。危うく道路に出るところでした」
男性の言葉に、心臓が止まりそうになりました。
この雪の中、しばらく外で泣いていたわが子
道路に出る? もし、雪で視界の悪い車が通りかかっていたら?
「……ありがとうございます。本当に、ありがとうございました」
「いえ。ただ、……あまりにも泣き方が尋常ではなかったので。この寒さの中ですし、警察に通報させてもらいました」
通報。 その言葉の重みに、頭の中が真っ白になりました。
「えっ、警察……ですか?」
「はい。今の時代、何があるかわかりませんよね。実際に、放置されていたのは事実ですから。あ、パトカーが来ましたよ」

