数週間後、自分のお小遣いで買ったダイヤのネックレスを汐里に贈る祥太。彼は自分の傲慢さを認め、汐里の献身的な家計管理に感謝を伝える。200万という数字よりも、夫からの敬意という「証」を得て、二人は再び歩み出す。
戻りつつある日常
それから数週間、家の中には少し気まずい、けれどこれまでにないほど落ち着いた時間が流れていました。
宝くじの自動購入設定は、私の目の前で祥太自身が操作して解約しました。「これでおしまい」と彼が呟いたとき、私はようやく、胸につかえていた何かがスッと消えていくのを感じました。
祥太は以前のように「俺のおかげで」という言葉を口にしなくなりました。
新しくなった洗濯機が回る音も、冷蔵庫が冷える音も、以前は恩着せがましい音に聞こえていましたが、今はただの便利な生活音として受け入れられるようになっていました。
夫からのサプライズ
そんなある日の金曜日の夜。子どもたちが寝静まり、私がリビングで一人、明日からの週末の予定を立てていたときのことです。会社から帰宅した祥太が、照れくさそうに後ろ手に何かを隠しながら近づいてきました。
「……これ。遅くなったけど」
差し出されたのは、宝石店の小さな箱でした。
「え……何? これ」
「50万の中から買ったんだ。……汐里に、苦労かけてるからさ。俺、本当にバカだったなって、ずっと考えてて」
箱を開けると、そこには繊細なプラチナのチェーンの先に、一粒のダイヤモンドが小さく、力強く輝いているネックレスが入っていました。
「サプライズなんて……びっくり……」
「いや、なんかさ……。汐里にあの時言われてから、ちゃんと考えたんだ。俺、当たって浮かれて、一番大事なこと忘れてたなって。家計のお金は俺が稼いでるだけじゃなくて、汐里が守ってくれてるお金なんだよな。それで当たった当選金を自分ひとりの手柄みたいに言ったの、本当に後悔してる」

