
松村沙友理、白洲迅のW主演によるLeminoオリジナルドラマ「今日もふたり、スキップで」の第1話から第3話までが10月4日に一挙配信された。第1話から、松村と白洲が演じる結婚して3年の夫婦による何気ないほのぼのとしたやりとりの中に、2人にしか出せない“芝居のスパイス”が感じられた。(以下、第1話のネタバレを含みます)
■ものすごい愛の超共感型エッセーを実写ドラマ化
同ドラマは、Xで多くの人の支持を集めたものすごい愛の超共感型エッセー「今日もふたり、スキップで ~結婚って“なんかいい”」を原案に、平凡な毎日に潜む“なんかいい”瞬間を丁寧にすくい取った“共感型ストーリー”。夫婦が一緒にストレッチしたり、お気に入りのトレーナーを取り合ったり、2人で夜道を散歩したりと、平凡だけど幸せな夫婦生活をユーモアたっぷりに描き、見る者に「結婚ってなんかいい」「こういうことあるある」と思わせてくれる、ほのぼのとした心温まる内容となっている。
第1話「狭小寝具生活」は、結婚して3年の妻(松村)と夫(白洲)が新居に引っ越してきたところから始まる。引っ越しを機に新調したダイニングテーブルを2人そろっていとおしそうになでたり、1つのベッドに一緒に寝て、入眠前には互いに足で突き合うなど、仲むつまじく引っ越し初日を過ごす。しかし、翌朝は妻の豪快過ぎるいびきと寝相の悪さに、夫が鬱憤(うっぷん)を爆発させる。
妻は「ごめん」と謝るも、夫は「横からずっと動物みたいな声が聞こえる」「肉食獣のうめき声みたいなやつ」「何でいつも布団をはぎ取って投げるの?」「何で君も寒がってんの?」と矢継ぎ早に不満をぶつけていく。そんな夫に対し、妻が別々に寝ることを提案すると、夫は「せっかく引っ越してきたのに、別々に寝るのは嫌だ…」と駄々をこねる。
後日2人は寝具売り場を訪れ、最新のベッドマットを試してみることに。横に寝ている妻がいくら動いても影響を受けずに寝ていられるか検証するため、夫は妻に“いつもの寝相”を再現するよう求める。もちろん妻は断るが、夫の強い要望に根負けし、嫌々ながらも店員や他の客がいる中で激しい動きを再現した。
■「俺のロックマンのトレーナーを着ないで」
また別の日には、妻が夫の「ロックマン」トレーナーを勝手に着用したことから、トレーナーを巡ってひと悶着が。「俺のロックマンのトレーナーを着ないで」という夫に無理やり着替えさせられてしまうが、妻はトレーナーのデザインではなく、10年ほど着て醸成された“理想の着心地”が気に入っており、どうしても着たいと主張。他のトレーナーを“理想の着心地”にしようと試行錯誤して手を加えるが、なかなか思うようにはいかない。夫もネットで同じトレーナーを探すものの、着心地を求める妻には無駄骨だった…。
そんな中、2人で商店街に買い物に出掛けた際、夫が商店街の洋品店でパンダのトレーナーを発見。「絶対かわいいって! 似合うよ」と薦める夫に、妻は「いやいやいや…」と乗り気じゃない様子でトレーナーの袖をつまみ上げると、その手触りが追い求めていた“理想の着心地”を有していることに気付く――。

■自然と引き込まれる松村&白洲の演技
本当に平凡かつ、よくある日常のエピソードで紡がれるストーリーなのだが、なぜか世界観に引き込まれていく引力がある。それは作品が発する共感性もあるが、やはり2人の芝居が大きい。というのも、極めてナチュラルでありながら、ところどころにちりばめられたコミカルな部分が絶妙なスパイスとなって“味変”させてくれるからだ。
例えば、妻の豪快ないびきと寝相の悪さを演じる松村の芝居は、堂々と“やり過ぎ”をやり切っていておかしみがあふれているし、一緒に寝たがったり、テーブルや寝具など長く使う物に並々ならぬこだわりを持ったりするところなど、白洲が表現する夫の個性的な部分は、しっかりと魅力的に描き出されている。平凡な設定でありながらも、平凡ではない芝居や役作りが見て取れる。
ストーリーで“ほっこり”や“あるある”を感じて結婚生活の温かみを味わいつつ、2人の役作りや芝居にも注目すると、より楽しめる30分になるだろう。
Leminoオリジナルドラマ「今日もふたり、スキップで」は、毎週土曜0時に新エピソードをLeminoで配信中。
◆文=原田健


