翌日には忘れる“切り替え力”が羨ましい!
――『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)がじわじわとベストセラーになり、2020年の年間ランキングでは単行本ビジネス部門で4位となっている時期でしたね。とらふぐ先生自身は網浜さんを描くことで、救われる瞬間はありましたか?とらふぐ:最初のうちは、嫌な感じの人が転落をしたり、失敗をしたらみんな溜飲を下げてくれる展開でしたが、最近では“網浜さんならこうやって軽々と乗り越えていくんだろうな”と考えることも多いです。
網浜さんが仕事をクビになり、初めて公園で泣くシーンがあるんですが、寝て起きた翌日には「やっぱり私は悪くないわ」と切り替えるんです。一つの悩みに執着しないところは本当に羨ましいです。
――そんな網浜さんの周りにいる人達もインパクトがありながらリアルな存在ですよね。とらふぐ:網浜さんに迷惑を被るキャラクターは、世間一般的な常識的な人達です。私自身、会社員時代には理不尽なことも経験しました。そこで出会った誰かではなく、いろんな人達の一部分を切り取って、よりリアルな人間を作り出すようにしています。
漫画のレビューではたまに「作者は私の姑のことを知っているはずだ」「この人はあの人ですよね?」と周りの人達と重ねている方を見かけます。きっと世界中に網浜さんのような人はいるんでしょうね(笑)。
網浜さんの服装は『女子SPA!』がきっかけ!?
――ビジュアル面はどう決定していったのでしょうか?とらふぐ:同様に実在の誰かをモデルにしていたわけではないので、作画の江口心先生と、バイタリティーが溢れて迫力のあるキャラなら、恰幅があってショートカットで…と話し合って完成させていきました。
もし網浜さんがスレンダーな完璧な美人だったら、ここまで愛着は持たれなかったかなと思うんです。リアリティある元気なフォルムが共感を生んだのかなと。
服装にもこだわりがあって、実は何かのネット記事で“ボーダーシャツを着る女はモテない”という一文を読んだからなんです。それこそ、『女子SPA!』の記事だったかもしれません(笑)。私は一枚で着こなせてしまうボーダーシャツが大好きなんですが、それって「スタイリングを無難にこなせる」ことと一緒なのかなとも。そこが網浜さんっぽいなと思い、定番の服装になっていきました。

