私はかわいそうな“被害者姫”…と、見えない暴力で攻撃する人の行動心理に「恐ろしい」「こういう人いる」【漫画】

私はかわいそうな“被害者姫”…と、見えない暴力で攻撃する人の行動心理に「恐ろしい」「こういう人いる」【漫画】

水谷緑さんの『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』が話題
水谷緑さんの『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』が話題 / (C)水谷緑/竹書房

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、水谷緑さんのエッセイ漫画『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』をピックアップ。

2026年2月14日に作者・水谷緑さんが本作をX(旧Twitter)に投稿すると6500以上の“いいね”とともに「ものすごくリアル」「こういう人いる」など反響の声が多く寄せられ話題を集めた。この記事では水谷緑さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。

■無言・無視・ため息…“受動的攻撃”をする人の心理描写に反響の声
『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』より
『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』より / (C)水谷緑/竹書房


主人公・アヤはいつもニコニコと笑顔で、誰に対しても態度を変えず、会社の中では「いい子」ポジションにいた。そんな中、アヤの上司・坂井は業務の進め方のことでアヤに注意をする。「申し訳ありません」と受け入れるアヤだったが、後に坂井と2人で行ったランチミーティングではわざと浮かない表情を見せ、食事をあまり取らない。そんなアヤの態度に「もしかして嫌だったのかな…」と思いを巡らせる坂井の反応を見て、アヤは心の中で「勝った」と思うのだった。

怒りを直接的に表現せず、無言・無視・ため息・わざと返事を遅らせる、などして、遠回しに相手の罪悪感を刺激することを“受動的攻撃”という。そもそも“攻撃”には、暴力・暴言など目に見える“能動的攻撃”もあるが、受動的攻撃は一見攻撃とわかりにくいのが特徴だ。

それから、坂井が妊活のため休みを取ることになるとアヤはサポートを任され、坂井の仕事も請け負うようになる。慣れない仕事に坂井から幾度と注意を受けるが、アヤは怒りや反抗の感情を決して表には出さない。そして、常に“かわいそう”な被害者ポジションに自分を置き、周りを巻き込みながら坂井を加害者に仕立て上げていく…。

受動的攻撃をする人の心理を描いた漫画に、読者からは「恐ろしい」「“察させる人”、いるいる」「こういう心理が働いてるんだ」「最近モヤモヤすることがあったんだけど原因はこれだった!」「無意識にやってる人もいそう」など反響の声が多く寄せられ、話題となっている。

■日常の疑問や怒りをテーマに 作者・水谷緑さんが語る創作の背景とこだわり
『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』より
『被害者姫 ~彼女は受動的攻撃をしている~』より / (C)水谷緑/竹書房


――『被害者姫』はどのようにして生まれた作品ですか?

自分が近い⼈に依存しがちなタイプと感じて、カウンセリングを受けたことがありました。そこで仕組みや対処法を知る中、⾃分が他者を支配したり、逆にされたりしていることに気付き、⽀配や暴⼒を⾝近に感じるようになりました。

そんな中、『こころのナース夜野さん』(小学館)という精神科ナースの漫画を描くことになり、ある回で暴力行為やDVをする男性の加害者支援の集まりに行き、話を聞く機会がありました。その中で、暴力を振るう側と被害者側の間でなんらかの相互の関係があるのではないかと疑問を持ち、暴力についての専⾨家の先生に質問したところ、“受動的攻撃”という概念があることを教えていただき、関心を持ちました。

――X(旧Twitter)では本作に6500を超える「いいね」とともに読者から反響の声が多く寄せられました。今回の反響について水谷緑さんの率直なご感想をお聞かせ下さい。

以前から主人公のアヤに対して、「自分の身近にもいる」というご感想が一番多いのですが、一方で「自分も当てはまるところがある」「自分もこういう部分があるから治したい」とつぶやいている方もいらっしゃって、意外に思っていました。

今回は夫や男の上司から受動的攻撃をされているという感想などもあり、男性バージョンの受動的攻撃エピソードも興味深いと思いました。他にも「私は受動的攻撃をうまく使っているんだから、手の内を明かすな」といった意見もあって、自覚して戦略的にやってる人も結構いることを改めて知れました。

――本作をとおして“受動的攻撃”という言葉があることを初めて知りました。主人公・アヤの心理描写がとても興味深い本作ですが、アヤというキャラクターを描き上げる際にこだわった点や意識した点はありますか?

アヤを本性を隠すのがとてもうまい受動的攻撃の達人・最強の被害者姫にしたいと思っていたので、「受動的攻撃をする人はこういうシチュエーションではどういった言動をするのか」にこだわり、心理師の先生にも取材を重ねました。

また、読者の方に「こういう⼈いるよね」と感じてもらえるよう、⽇常エピソードのリアルさにもこだわりました。

――本エピソードの中で、水谷さんが特に思い入れのあるシーンがあれば理由と共にお教えください。

第1話です。取材で得たあるあるを凝縮して入れられたかなと思っています。

アヤは変われるのか、何を選択するのか考えながら描きましたが、最後の方でアヤから上司の坂井へ本音が出るシーンで、こういうコミュニケーションをせざるを得ない生き方を選択してきた人間の人生を感じ、感慨深かったです。

――普段、作品のストーリーやテーマはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

日常での疑問や怒りからです。

今回の作品は、「モラハラしてる側だけが100%悪くて、被害者は何も非はない」という意見をよく聞くので、「そうかな? 受ける側にも何かあるのでは?」と疑問を持ち、暴力の研究をしている専門家に聞いたことがきっかけです。

――今後描いてみたいエピソードや目標などがありましたら教えてください。

4月9日に精神科病院での暴力をテーマとした「暴力病院 看護助手が精神科で見たもの」が発売になります。

また、美容医療と戦争孤児の漫画を連載準備中です。エグいものを取材している反動で、可愛いほっこりしたキャラを描きたいです。もっと色々な人に伝わる漫画を描けるようになりたいです。


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