自転車の二人乗り(いわゆる「ニケツ」)は、青春の象徴かもしれない。映画やマンガでおなじみの光景で、フォークデュオ「ゆず」の名曲『夏色』の一節を思い浮かべる世代もいるだろう。
風を切って走る、あの感覚。記憶の中ではいつまでもきらめいている──。そんな経験がある人も少なくないはずだ。
ただし、それはあくまで“記憶の中の話”である。現実は厳しい。今年4月から、16歳以上による自転車の二人乗りは「青切符」の対象となった。
違反すれば、反則金は3000円。青春の代償としては、やや現実的すぎる金額だ。(見城みかん)
●ニケツは「昔から違反」だった
もっとも二人乗りの違反自体は、今に始まったものではない。
これまでも、16歳以上の運転者が幼児用座席に未就学児を乗せる場合など、限られた例外を除いて、原則として禁止されてきた。
たとえば、16歳以上の高校生の二人乗りは、道路交通法上、2万円以下の罰金または科料の対象となる。
つまり、「昔はよかった」というより、単に見逃されがちだっただけともいえる。
変わったのは、青切符の導入によって、違反がぐっと身近になったことだろう。
なお、悪質なケースでは青切符ではとどまらず、従来どおり、赤切符(刑事手続き)へと移行する可能性もある。
●ロマンより先に「反則金」
好きな人(異性とは限らない)を荷台に乗せて、何気ない道を走る。坂道でふらついて、思わず笑い合う──。
そんな光景は、これからはフィクションの中にだけ残っていくのかもしれない。もし現実でやれば、ロマンより先に反則金がやってくるのだ。
かつて“甘酸っぱい思い出”だった行為が、明確に線が引かれた時代。それを寂しいと感じるか、当然のルールと受け止めるか。
少なくとも言えるのは、ニケツは「やったら怒られる」ではなく、「やったら普通に切られる」──そんな時代にもう入っている、ということだ。

