大腸がん予防で「本当に大切なこと」
編集部
生活習慣に気をつけていても、大腸がん検診は必要なのでしょうか?
柏木先生
生活習慣に気をつけていても、大腸がん検診は必ず受けることを推奨します。生活習慣の改善はがんのリスクを下げることはできても、完全に予防できるわけではないからです。大腸がんは、初期段階ではほとんど症状がなく、自覚症状が生じた時にはすでに進行していることが多い病気です。また、大腸がんの多くは腺腫性ポリープから発生しますが、腺腫性ポリープは大腸の精密検査でしか見つけられません。大腸内視鏡検査でポリープを早期に発見し切除することで、がんに進行する前に予防できる可能性が高くなります。
編集部
大腸内視鏡検査は、何歳頃から受けるべきなのでしょうか。また、若い世代でも検査が必要な人はいますか?
柏木先生
大腸内視鏡検査は、40歳を目安に開始することが推奨されます。しかし、最近では20代や30代といった若年層の大腸がんも増加傾向にあるため、症状がある、家族歴がある(親、兄弟姉妹に大腸がん発症者がいる)、生活習慣が乱れている人は年齢にかかわらず検査を受けることが早期発見のカギです。また家族歴がある人は、より早い年齢から定期的な検査が必要です。
編集部
大腸内視鏡検査は、どのくらいの頻度で受けるのが望ましいでしょうか?
柏木先生
検査の頻度は、前回の大腸内視鏡検査の結果によって異なります。繰り返し受診することで隠れた病変や新たな異常の早期発見につながるため、定期的な受診が大切です。前回の検査で早期がんや大きなポリープ、多数のポリープを切除した場合には、1年後の検査が推奨されます。それ以外のポリープ切除後は3年ごとが目安となります。なお、これまでに切除したポリープのサイズ・個数・病理結果、腸の状態、既往歴、家族歴などによって、主治医の判断で検査頻度が変わる場合があります。検査後に次回の検査時期を確認し、個々の状況に合った検査スケジュールを立てることが大切です。
編集部
内視鏡検査を受けたあとも、便潜血検査などの検診は受けたほうがよいのでしょうか? また、次回の検査時期が分からない場合の目安があれば教えてください。
柏木先生
過去の詳しい情報が不明な場合には、ポリープ切除歴があれば3年以内(1~3年後)に、自覚症状がなく次回の指示も受けていない場合は3年ごとを目安に受診されることをお勧めします。また、40歳以上の方には年に1回の便潜血検査による検診を継続して受けることが推奨されており、陽性となった場合には大腸内視鏡検査が必要となります。
編集部
大腸がん予防のために、日常生活で意識したいポイントを教えてください。
柏木先生
生活習慣の改善を意識し、定期的な大腸内視鏡検査を受けましょう。食生活では野菜や果物、食物繊維を多く摂り、赤身肉や加工肉の過剰摂取を控えることが重要です。また適度な運動習慣(週150分程度のウォーキングなど)を取り入れ、適正体重を維持しましょう。身体活動量が少ない人と多い人を比較した場合、後者では大腸がんのリスクが0.69倍(結腸がんに限定した場合は0.58倍)であったという研究報告もあります(Cancer Causes Control. 2007 Mar;18(2):199-209.)。
編集部
ほかにも日常生活において知っておくべきことはありますか?
柏木先生
禁煙と節酒も大切です。喫煙は大腸がんのリスクを約1.4倍上昇させます。また、毎日1合以上の飲酒もリスクを1.4倍以上引き上げ、アルコール摂取量の増加と大腸がんリスクは相関関係にあることが明らかとなっています。そして最も重要な予防策は、大腸内視鏡検査の定期的な受診です。生活習慣の改善だけでは完全にがんを予防できないため、40歳を目安に検査を開始してください。
編集部まとめ
大腸がんは、生活習慣の改善と定期的な検診によって予防や早期発見が期待できるがんです。コーヒーの摂取など、身近な予防法が注目されているものの、それだけでは完全に予防はできません。大腸がん予防において最重要な点は、がんに関する正しい知識を持ち、運動や食事、禁煙・節酒といった日常でできる予防行動を積み重ね、適切なタイミングで大腸内視鏡検査を受けることです。本稿が大腸がんを自分ごととして捉え、検診や生活習慣を見直すきっかけとなりましたら幸いです。

