2025年7月に発覚したニデックグループの不適切な会計処理問題を巡り、有識者らで構成する「第三者委員会報告書格付け委員会」は4月8日、ニデック側が設置した第三者委員会による調査報告書に対する格付け結果を公表した。
同委員会のメンバー8人が評価を行い、5段階評価のうち、中間のC評価が5名、下から2番目のD評価が2名、B評価が1名という結果となった(https://www.rating-tpcr.net/result/#29)。
会見した委員長の久保利英明弁護士は、「長期にわたる調査の努力賞・敢闘賞としてD評価にしたが、F評価でもおかしくない」と厳しく判断したことを明らかにし、記載されていた再発防止策の大半は「具体性を欠く机上の空論」と報告書を批判した。
●「第三者委の費用・報酬額」不開示に疑問符
格付け委員会は、第三者委員会の調査報告書に独立性や透明性があるかどうかを検証するために2014年に発足。社会的価値や影響力が大きいと認められる報告書を対象に、委員会での議論に基づき、各委員がそれぞれ評価して格付けをおこなう。
D評価を下した久保利弁護士は、「多大なマンパワーを投じて細部まで調査した努力は認めるが、調査費用が開示されておらず、企業側に求めた負担に見合う成果が得られたのか評価できない」と指摘。さらに、不正の温床となった内部統制の中核にいたとされる人物へのヒアリングが見送られた点や、会計監査人の判断過程に対する検証不足を問題視した。
C評価とした青山学院大学名誉教授(会計学)の八田進二氏は、報告書が「不適切会計」ではなく明確に「会計不正」と断定した姿勢を評価しつつも、事業所で不正が蔓延する異常事態であるにもかかわらず、報告書に「モノづくり企業としての実力に疑問符を投げかけるものではない」との記載があることについて、「報告書自体の信頼性を大きく失墜させる忖度だ」と厳しく批判した。
同じくC評価とした行方洋一弁護士も、聖域とされがちなカリスマ創業者の問題に切り込んだ点を評価する一方、監査法人による見逃しの原因についての追及が甘いことや、社外役員の監督機能が本当に果たされていたのかどうかに深く切り込めていない点について懸念を示した。
●問われる「社外取締役」の存在意義

フジテレビ問題で第三者委員会の委員長を務めた竹内朗弁護士は、客観的証拠やヒアリング結果の詳細な引用から相当な範囲と深度で事実調査がおこなわれたであろう点をプラスに評価。
一方で、「決算説明資料上明らかな営業利益の大幅未達や短期での社長交代等の異常事態に対して、社外役員や監査等委員は能動的に情報を入手しようとしていたのか、また当時どういう心境だったのかを明らかにすべきだった」とし、社外役員等が果たすべき本来の役割について明確な警告を与える絶好の機会を逃したと指摘した。
今回の調査報告書は中間報告という位置付けで、第三者委員会による調査は今なお継続している。
久保利弁護士は、「最終報告書では(調査すべき対象に)しっかりとヒアリングを実施してその結果を記載していただきたいですし、仮におこなわなかったのであればその明確な理由を記載すべきです」と話した。

