
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)屈指のダーク路線で描かれ話題となったバイオレンスアクション「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン2の第4話が、4月8日に配信された。第4話では、“ブルズアイ”ことベンジャミン・ポインデクスター(ウィルソン・ベセル)が強烈な存在感を放った。(以下、ネタバレを含みます)
■ポインデクスターの穏やかな日常から修羅場へ
第1話で、デアデビル/マット・マードック(チャーリー・コックス)は裏社会の犯罪王だった“キングピン”ことウィルソン・フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)の裏の顔をNY市民に暴露するために、大量の武器が積まれた船ノーザンスター号を襲撃。船長らは襲撃を受けたことで、フィスクからの指示通り、船を沈めた。
しかし、船を沈めたのはデアデビルの仕業だと公表し、マットを追い詰めた。その後、自警団を制圧するための特別部隊「AVTF(アンチ・ヴィジランテ・タスク・フォース)」によって、デアデビルはマスクを剥ぎ取られ、その正体がマット・マードックだとバレてしまい万事休す…かと思われたが、そのピンチを救ったのはブルズアイだった。それが第1話のラストシーン。
それから2、3話を経て第4話は、ポインデクスターの穏やかな朝の様子から始まった。ビリー・ジョエルの「New York State Of Mind(ニューヨークの想い)」をBGMに、朝食に目玉焼きを作って食べ、「トニー」と声をかけてくる隣人に親切にして、猫にはエサを。路上生活者にコインを渡し、ダイナーでは女性店員にオススメを尋ねて、バナナミルクセーキをオーダー。店員は無愛想だが、ポインデクスターはにこやかに対応している。
至って平和な朝のような感じだったが、わざわざ特別部隊ホットラインに電話をかけて「(自分のいる)ダイナーにパニッシャーがいて銃を持っている」とうその通報をする。間もなくAVTFの隊員たちがやってきたが、ストローと爪楊枝を使った吹き矢で攻撃し、フォークやロブスターのハサミも武器として使用し、あっという間に隊員たちを殲滅。扉にケチャップでブルズアイのマークを残して立ち去った。冒頭部分でポインデクスターをフィーチャーした通り、第4話のキーパーソンはブルズアイだ。
それと今回注目したいのは、フィスクによるボクシングのチャリティーマッチが開催されるということ。これは、フィスクが推し進める「ボーン・アゲイン・プロジェクト」の資金集めが目的で、フィスク自身がリングに立つ。資金集めだけでなく、ブルズアイをおびき寄せる目的もある。マットはそれを察知し、ブルズアイを試合の会場に近づけないようにしようと考える。ブルズアイが特別部隊を殲滅させたダイナーに行き、そこでコインを見つけ、教会へ足を運んだ。さらにそこでヒントを得て、ポインデクスターの家を探り当てた。
■深い因縁…デアデビルとブルズアイの直接対決
デアデビルとブルズアイの直接対決も第4話の見どころだが、その中でブルズアイはデアデビルに「俺は味方だ」と言い、「善行を一つ」という言葉を何度も繰り返す。「俺はあの女の命令でお前の仲間に手をかけた」と、あの女、つまりフィスクの妻・ヴァネッサ(アイェレット・ゾラー)の命令でマットの親友フォギー・ネルソン(エルデン・ヘンソン)の命を奪ったことを伝え、自分の意思ではなかったと釈明。あの頃の状況から抜け出し、自分自身を取り戻したかった、とも。
第1話でデアデビルを助けたのもその贖罪で、悪行に対して、善行をすることで帳尻を合わせようと思っているということだった。フォギーの命を奪ったことに対する帳尻合わせとして考えているのは「お前(デアデビル)がやりたがらないこと」。デアデビルは戦うが殺めたりはしない。人を殺さない(殺せない)デアデビルの代わりに、自分がキングピンを殺害する。これが彼にとっての“善行”だという。
もちろん、デアデビルがそれを許すわけがない。だが、結局その場では説得に至らず、ブルズアイは逃亡。ブルズアイが向かった先は、ボクシングのチャリティーマッチが行われている会場のフォグウェル・ジム。そこはボクサーだったマットの父親が通っていたジムで、マットにとっても思い出深い場所である。そんな場所で、今後のストーリーに大きく影響する出来事が起こることとなった。
フィスクは、そこにデアデビルとブルズアイが来ることを予想していたのだろう。わざとセキュリティを一部緩め、自分をエサに誘い込もうとしているくらいだった。だからこそ、妻のヴァネッサが試合を見に行きたがっていたが、危険過ぎるため別の用事を入れて、来させないようにしていた。

■ボクシングでも相手を圧倒するフィスク
ボクシングの試合はフィスクが圧倒的な力の差を見せつけ、相手を殺してしまうのではないかと思うほどにボコボコにしていく。しかし、予想外のことが起こった。会場にヴァネッサが現れたのだ。しかも、家で会話をしていたときは赤いドレスを着ていたが、フィスクがいつも着ているスーツと同じように“真っ白”のドレスを着ていた。そこにはフィスクへの深い愛が感じられる。だが、案の定ブルズアイも会場に姿を現すと、AVTFの隊員を次々倒し、ガラスの置物をフィスク夫妻のいるリングに向かって投げつけた。
フィスクが手に持っていたチャンピオンベルトでそれを払いのけ、銃でブルズアイに反撃しようとするとデアデビルが現れ、それを阻止してブルズアイを会場の外に連れ出した。まさに混沌とした状況。だからこその悲劇と言うべきか、フィスクがベルトで払いのけたガラスの破片がヴァネッサのこめかみに刺さってしまっていた。皮肉にも、彼女の白いドレスが血で赤に染まっていく。ヴァネッサの生死についてはまだ分からないが、この件によってフィスクがより凶暴になっていくのは火を見るよりも明らかだ。
全8話ということで、ここがちょうど折り返し。SNS上には「マットとフィスクの対比的な描き方と、別のベクトルからのポインデクスターもいい」「ブルズアイが出てくるシーン全て緊迫感が半端ない」「壮絶過ぎて言葉が出ない」「冒頭から引き込まれた」「優雅なモーニングルーティンからの一連の流れが最高過ぎる」という声があふれ、さらなる盛り上がりを見せている。
■デアデビルと“次期ホワイトタイガー”の会話もエモい
一方、今回のストーリーの中でもう一つ印象的なシーンがあった。それは“ホワイトタイガー”の遺志を受け継ぎ、2代目になろうとしているアンジェラ・デル・トロ(カミラ・ロドリゲス)とデアデビルとの会話だ。自分も役に立ちたいと積極的に参加しようとするアンジェラ。その気持ちの強さ、意志の固さをしっかりと受け止めたデアデビルは、首から下げたアミュレットに触れ、「そいつには大いなる責任が伴う。やれそうか?」とアンジェラに問うと、「分かっています。やるしかない」と答えた。
その言葉は、“親愛なる隣人”スパイダーマンの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」に通じるものがあった。普通の青年だったピーター・パーカーのように、アンジェラもこれからどんどん強くなっていくのだろう。その活躍にも期待したい。
「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン2は、毎週水曜に新エピソードをディズニープラスで独占配信中。
◆文=田中隆信

