おたふく風邪は正式名称を流行性耳下腺炎といい、ムンプスウイルスによる感染症になります。
おたふく風邪は感染すると、重症化する場合もあり難聴や髄膜炎など合併症の可能性もあるため注意が必要な病気です。
合併症の危険を防ぐためにも、おたふく風邪はワクチンで予防をしておきましょう。
今回は、おたふく風邪の特徴や罹患時の注意点、ワクチンの重要性についてのお話をしていきます。
※この記事はメディカルドックにて『おたふく風邪に罹患した場合の注意点は?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和佐野 浩一郎(医師)
慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。2018年より独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部室長。日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医・補聴器相談医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本耳科学会耳科手術暫定指導医、頭頸部がん専門医・指導医、日本がん治療認定医機構日本がん治療認定医、日本気管食道科学会気管食道科専門医。
おたふく風邪の特徴は?

おたふく風邪はどのような症状が出るのでしょうか?
おたふく風邪の潜伏期間は2~3週間です。潜伏期間が過ぎたあたりから症状が現れ始めます。
倦怠感や頭痛や首に痛みがでるなど初期症状から始まるケースもあり、その後片側または両側の耳下腺や顎下腺などが腫れるのが主な症状です。痛みや発熱を伴うこともあります。
1~2週間で主な症状は治まっていくことが多いです。中には、おたふく風邪に感染していても症状がでないケースも少なくありません。
おたふく風邪の治療はどのように行われますか?
おたふく風邪には専用の薬がないため、治療は痛みや発熱への対処療法が中心になります。
発熱や痛みには解熱鎮痛剤を使いますが、基本的におたふく風邪は安静にして治るのを待つしかありません。
水分が摂れず脱水を起こしている場合や髄膜炎など合併症を起こしている場合は、入院対応することになります。
おたふく風邪の診断方法を教えてください
おたふく風邪の診断は、耳下腺の腫れに加えて、まわりでおたふく風邪の流行・罹巻患経験の有無などをみて診断をされることが多いです。
ただ、おたふく風邪以外でも耳下腺が腫れるケースもあるため、確実に診断をするためには血液検査をして抗体価の測定が必要です。
高熱や頭痛など髄膜炎を疑う症状がある場合は、髄液の検査を行うこともあります。
大人も感染するのでしょうか?
おたふく風邪は子どもが罹る病気というイメージが強いですが、大人の感染も少なくありません。大人が罹った場合は子どもよりも重症化することが多く、40度以上の高熱や強い痛みで食事もとれなくなるケースもあります。
思春期以降におたふく風邪に罹ると、難聴や髄膜炎、男性なら精巣炎・女性なら卵巣炎など不妊の原因となる合併を引き起こすリスクも高くなるため、注意が必要です。
編集部まとめ

おたふく風邪は感染力が強いため、罹患してしまったら症状がおさまるまでは学校や仕事はお休みして外出を控えるようにしましょう。
おたふく風邪には特効薬がないため、すぐに回復することは難しいです。腫れや痛みなどの症状がある間は、鎮痛剤を服用するなどして安静に過ごして下さい。
昔は、おたふく風邪は自然に罹ったほうが強い免疫がつくといわれていました。しかし、自然に罹った場合は合併症を引き起こす危険があります。
家族など周りの人に感染を広げてしまうなど、おたふく風邪に自然に罹ることはデメリットが多いです。
おたふく風邪はワクチンで予防できる病気で、ワクチン接種後に万が一おたふく風邪に罹患をしても重症化や合併症のリスクが少なくなります。
おたふく風邪ワクチンは、副反応が起こる可能性もあるため接種を避ける方もいますが、ワクチンが予防に最も有効な方法です。
お子さんはもちろん大人の方でも、おたふく風邪に罹患したことがない場合は、ワクチンのメリットとデメリットを理解した上で接種を検討して下さい。
参考文献
流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)|NIID国立感染症研究所
おたふくかぜワクチン|ワクチン.net
おたふくかぜワクチン|こどもとおとなのワクチンサイト

