目印アクセサリー、なぜブームに?
カプセルトイコーナーを席巻し、2023年頃から爆発的なブームを巻き起こしているのが「目印アクセサリー」(めじるしアクセサリー、アクリルチャーム)です。傘の柄、ペットボトル、バッグのファスナーなど、日常のあらゆる持ち物に簡単に取り付けられる小さなチャームやキーホルダー型のアクセサリーを指します。キャラクターや動物、食べ物など多様で可愛らしいモチーフが特徴で、一度集め始めると止まらない中毒性の高さから、カプセルトイ市場全体の売上を押し上げる存在となっています。
そもそもこのブームはなぜ、これほどまでに熱狂的な支持を集めたのでしょうか。その背景には、単なる可愛さや実用性を超えた、現代の社会状況と消費トレンドが深く関わっています。
ブームの要因は実用性×可愛さ×時代背景の融合
目印アクセサリーが成功した最大の要因は、「日常の小さな不便をかわいく解決する」という普遍的なニーズを満たした点にあります。
●コロナ禍後の「持ち物識別」ニーズとプライバシー対応
ブームが本格化した2023年頃は、コロナ禍が落ち着きを見せつつも、学校や職場でマイボトルや傘などの個人所有物が増加した時期と重なります。ビニール傘など、誰もが同じような物を持つ現代において、自分の持ち物を見分ける必要性は高まっていました。さらに、個人情報保護の観点から、公共の場に置くアイテムに「名前を書く」ことに抵抗がある人も少なくありません。
目印アクセサリーは、名前を書かずに、目立つのに個性的な「印」をつけられるツールとして、この時代のニーズに完璧に応えたのです。「名前を書かずに区別できる」という口コミが広がるにつれ、その需要は高まり、一時期は供給が追いつかないほどの人気となりました。
●経済的な「プチ贅沢」として浸透
1回300円から400円という手頃な価格帯も、ブームを後押ししました。インフレ傾向が続く現代において、高額な買い物は控えたいと考える消費者が多い中、目印アクセサリーは経済的に抵抗なく購入できる「プチぜいたく」として機能。小さくても満足感が高く、日常に彩りを与えてくれる手軽な消費体験が、幅広い層に受け入れられています。

