口の中に何度も水ぶくれができたり、口内炎がなかなか治らなかったりと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。それは「粘液嚢胞」の可能性が高いです。
つぶれることで自然と小さくなっていきますが再発しやすく、なかなか治りません。子どもに多い症例ですが、大人でも発症します。
では一体、何が原因でできるのでしょうか。症状についても解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「急性胃腸炎」とは?症状・原因についても詳しく解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
粘液嚢胞とは?

粘液嚢胞とはどんな病気なのか教えてください。
できものといえば「腫瘍」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「嚢胞」も「腫瘍」と同じできものです。
腫瘍は身体の中の組織の一部が異様に増えてできたもので、すき間がないくらい組織が詰まったものになります。嚢胞は粘膜の下部分に生じた空洞を意味し、液体が溜まっています。
粘液嚢胞の「粘液」は唾液のことです。つまり、粘液嚢胞とは嚢胞に唾液が溜まってできたできもののことを指します。
口の中にはさまざまなできものができやすいのですが、その中でもとくにできやすいとされています。できる場所は下唇が多いです。しかし舌の先端部分・頬の粘膜部分にできることもあります。舌の先の部分にできたものは、「ブランディン・ヌーン嚢胞」と呼ばれます。
粘液嚢胞を発症した場合、どんな症状がみられますか?
粘液嚢胞を発症すると下唇などにできものができます。大きさは5㎜くらいですが、1㎝を超える場合もあります。
色は発生する場所によって異なり、比較的表面に近い場所にできた場合は透明感のある薄紫色です。できた場所が深いと粘膜の色に近いピンク色になります。
硬さは粘膜と同じような柔らかさです。痛みはありません。ある程度の大きさまで膨らむと潰れ、中から粘り気のある液体が出てきます。その後、傷が塞がると再び内部に唾液が溜まりまたできます。
再発が繰り返されると徐々に表面は硬くなり、白っぽくなることもあるようです。
原因を教えてください。
原因として考えられるのは、何らかの理由で口の中にある唾液腺が詰まってしまうことです。唾液腺が詰まる理由として、粘膜が傷つけられることがあげられます。
唾液腺は大唾液腺と小唾液腺の2種類に分けることができます。小唾液腺は口の中に無数にあり、大唾液腺と比べると導管が細く排出口が狭いです。そのため、粘膜が傷つけられると詰まってしまうのです。粘膜が傷つけられる理由はさまざまですが、主に次のような原因が考えられます。
口内炎
粘膜を噛んだ
歯の先端があたる
矯正器具・入れ歯があたる
これらによって粘膜が傷つき、できものができてしまうのです。粘膜の傷が治るときに唾液を出す管が詰まり、粘液嚢胞になるといわれています。
導管や排出口が詰まっていても唾液を作る機能は停止しません。そのため、行き場を失った唾液が小唾液腺の中に溜まり膨らむのです。下唇を噛む癖がある方は、下唇を噛むことにより粘膜が傷つく可能性があるため注意しましょう。
粘液嚢胞が出来やすいのはどんな人ですか?
粘液嚢胞ができる方の年代をみると、10代~30代に多いようです。特に子どもに多く、50歳以上の高齢になると症状が出る方は少なくなります。他にも次のような方は注意が必要です。
矯正器具・義歯を使用している
下唇を噛む癖がある
硬い食べ物が好き
原因のところでも触れましたが、矯正器具・義歯や硬い食べ物は粘膜を傷つけやすいです。そのため、発症のきっかけとなってしまうことがあります。
編集部まとめ

口の中に何度もできものができると、何かしらの病気ではないかと不安になることもあります。しかし粘液嚢胞はそこまで深刻になる必要はありません。
ただ自然治癒はしないので、日常生活に不便を感じる方や気になる方はお近くの歯科医院に相談してみましょう。
摘出するための手術は外科手術になるため、口腔外科のある歯科医院がおすすめです。粘膜が傷つくことが一番の原因なので、粘膜を傷つけないように普段から気を付けることも大事です。
参考文献
口の中の「透明なできもの」の正体。痛い・痛くないのは?潰すのはNG!【粘液嚢胞・ヘルペス】|Medicalook

