
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。
今回は「月刊フォアミセス」で『猫と男の子とその父親を買いました。』を連載している山田圭子さんに注目し、秋田書店より出版された『爆笑更年期!! ~極楽めざして地獄めぐり~』をご紹介しよう。

同作は、少女漫画家の山田さんが体験した“更年期地獄”の様子を描いた一作。以前山田さんのX(旧Twitter)に同作の第2話が投稿されると、合計約2000ほどの「いいね」が寄せられている。そこで作者の山田さんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。
■急に体の至る箇所に“ブツブツ”が…

不整脈が発覚して2ヶ月後、症状は治っていたものの、その間に4キロも体重が増えていた山田さん。これまでにも大幅に体重が増えたことがあり、その度に痩せてはリバウンドを繰り返してきたそう。しかし、年齢を重ねて毎日続けていたストレッチさえも断念するようになった。
そして、太ってしまった状態に目を背けていたある日のこと、手のひらに“ブツブツ”ができていることに気づく。さらに症状は悪化して、両腕、両足にもブツブツが出てきてしまい…。読者からは「やっぱり睡眠って大切なんだね」「体験談だから、とても参考になる」といった反響が上がっていた。
■こだわったポイントは「身も蓋もないほど正直にデブの不便をばんばん描いたところ」

――『爆笑更年期!! ~極楽めざして地獄めぐり~』を描き始めた経緯をお教えください。
「動かない肉体労働」と言われる不摂生漫画家生活を30年近く続け、更年期1年目で全身が壊れてしまい(不整脈、肥満、湿疹、高血圧、子宮脱その他もろもろ)、最初は恐怖で震えていました。あまりにも勢いよく壊れまくるので、病院などに行くたびに治療法を教わり、セルフケア最優先に思考回路が変わりました。
それまで漫画を描きながら死にたいと思っていたのに、体の不調が起こるとあっさり優先順位第一位が「健康」になったんです。私は人体にすごく興味があり、ツボ反射区とかYouTube動画の善玉菌と悪玉菌の戦いとか、何時間でも眺めてるような人間なので、「私の体内でも今すごい戦いが繰り広げられてるんだ」と思うとだんだん面白くなってきて…。
「湿疹を倒したら次はしびれを倒す、その次は生活サイクルを変える!」などイベントの数の多さが楽しいとさえ感じるようになりました。不調自体は辛いけど、体が改善されていくのは本当に楽しいなと思って。毎日「これとこれとこれが治った。いいぞいいぞ」と指折り数えながら「今日もいい獲物が獲れた!」なんて満足して眠る、みたいな。めちゃくちゃひどい目に遭ってるのに楽しいじゃんという不思議な方向に行ったんです。
フルコース更年期症状がだいたい治まった頃、久々に秋田書店の担当さんとお話しする機会があり、「私、今最高に面白いネタを持ってるんですよ。更年期なんですけど」と伝えたら、担当さんもいろんな経験をされたそうで盛り上がり、するすると連載が決まったんです。
――第2話を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
こだわった点は、身も蓋もないほど正直にデブの不便をばんばん描いたところです。
顔が大きくなるものでファンデの減りが早く、着られる服が限られて、いつも同じ服を着ていると毛玉ができたり擦り切れますし、体が大きいといつも何かにぶつかって人に迷惑かけるし恥ずかしいし。更年期のせいで史上最大の体重を記録し、リアルなネタの宝庫になってしまったので、漫画の進みは早かったです。
そして、湿疹用のワセリンの一番大きな容器があまりに巨大で見た時びっくりしました。「これは描かねば」と思いました。
――第2話のなかで特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
漢方クリニックの先生に出会って、「あなたのような人には、どんな薬より施術より、夜10時に寝て朝5時に起きること」と言われた場面です。
それまでは「だって仕事があるし、寝てたら間に合わないよ」の世界に生きていました。それは漫画家の免罪符のようなもので、それを出せばけっこう多くの世間の常識や生活の改善のめんどくささから逃げても許されてきてしまったんですね。でも先生の言葉にすごい説得力を感じてしまい…。口ごたえをやめて、頑張ってみようと思いました。
実際には締め切り間際になると10時2時の4時間睡眠とかになっていたんですが、最高のゴールデンタイムなのだし、せっかく寝るならこの4時間を素敵なものにしたい。寝具や寝室環境を見直して睡眠時間が充実していくようになりました(現在は当時より年を重ねたこともあり、締め切り当日でも7時間は絶対寝ています)。
――2026年の目標や展望について教えてください。
新作の『猫と男の子とその父親を買いました。』が「月刊フォアミセス」で始まったので、1話ずつ大切に描いていくことを目標にしています。

今まで常に熱く激しく大盛りラーメンみたいな漫画を描き続けてきましたが、ようやく暖かい縁側でゴロゴロしながら読める漫画を描きたいと思うようになりましたので、のんびりほっこり描き続けていきたいです。
そして私が原作漫画を描いた1型糖尿病サマーキャンプ物語『げんきの森日記』が映画化に向けて歩んでいます。制作委員会チームにも参加しているので、映画になるまでの果てしない道のりを数年間見つめ続けてきました。
世界が不安に包まれている今こそ必要な映画になると信じておりますので、楽しく頑張っていこうと思います。
――読者へメッセージをお願いします。
『爆笑更年期!! ~極楽めざして地獄めぐり~』は発表して10年近く経つ漫画です。更年期は閉経を挟んで前後5年、つまり約10年間続くのが一般的といわれていますが、生活を整え症状が落ち着いてきたら、今度は親の介護や看取り、子供の受験など、この年頃は背負うものがより重くなりますよね。
そのせいか、漫画を描いた8年前より、むしろ今のほうが大変になりました。体も何度も不安定になりますが、「これも数年後には面白い思い出になるはず!」と信じて生きていきます。皆様のことも応援しています。
『爆笑更年期!! ~極楽めざして地獄めぐり~』の分冊版は漫画サイト「チャンピオンクロス」だけで配信中、一般ストアでは電子単行本全1巻が配信中です。
また、新作『猫と男の子とその父親を買いました。』はアラフォー女性が主人公で、母親の看取りをずっと続けています。人生に孤独としんどさを感じていた時、ある素敵すぎる男性とその息子さんと、彼らの猫と巡り会い、それを「買う」流れになっていくのですが、自分自身が今の年齢になったからこそかける漫画だなと思ってます。
掲載誌の『月刊フォアミセス』は毎月3日に発売です。電子ではコミックシーモアで分冊版が先行配信(基本1話無料)、1カ月遅れで一般ストアで配信になります。
他には音声プラットホームVoicyのパーソナリティーもやっています。いにしえの漫画やアニメ、猫の話で毎回盛り上がっております。「漫画家・山田圭子の猫と漫画の森日記」は月・木更新中です。

