温泉の出る築75年の家を98万円で購入!40代女性作家が語る“自分を褒めてくれる物件”の選び方

温泉の出る築75年の家を98万円で購入!40代女性作家が語る“自分を褒めてくれる物件”の選び方

「働いているうちに家を買ったほうが良い!」

 友人から、雑誌の見出しで、SNSで……そんなフレーズを聞いたことがあるでしょう。ローンを組むことを考えると、30~40代で家を買う、という選択をすべきなのかもしれません。でも、数千万の買い物なんて、イメージするのも難しい! どうすればよいのかわからない、という人も多いはずです。

 作家・高殿円さん そんなさまよえる我々に新たな視点を与えてくれるのは、『トッカン』『上流階級 富久丸百貨店外商部』など、次々ヒット作品を生み出し、活躍する作家・高殿円さん。

 2024年4月に発行した『98万円で温泉の出る築75年の家を買った』が異例の大ヒット。ロングセラーとなり、「COMICポラリス」でコミカライズもスタートしました。

「不動産は自己肯定感を上げてくれる」と話す高殿さん。前編に引き続き、温泉付き不動産に興味津々のライター・宇野なおみが先達のお話を聞いてきました。

出産、子育て、大病とキャリア……揺れる人生で掴んだ欲しいもの

 98万円温泉ハウスからの眺め――高殿さんから前回お話を伺っていて、とてもポジティブでパワフルな方だと思いました。

高殿円さん(以下、高殿):今でこそ「ご機嫌なおばあ」ですけど、30~40代は大変でした。

――2000年にデビュー。以来、ずっと作家としてご活躍を続けておいでです。

高殿:26年間、とにかく書いてきて、ありがたいことにオファーもあって、書き続けることもできました。ずっと自分のキャリアのことばかり考えなきゃ、と走ってきましたが、初めての出産、子育てですべてが変わって。子どもが目の離せない子で……。

さらに自分自身も腎臓病になっていわゆる「難病持ち」になってしまったんですね。自分のことだけ考えられなくなって体はぼろぼろ。だけど、そういうときにヒット作がでて「もっと働け」と言われるわけです。キャリアにはのっておくべき波があります。子育てと仕事、「自分を顧みることのない30代」を過ごしてしまいました。

――『トッカン』シリーズのヒット、そしてドラマ化。順調なキャリアの裏には、大変な思いがあったんですね。

高殿:40代になって、全部がどっと襲ってきましたね。トッカンが売れて、ドラマ化までこぎつけて。自分のキャリアの流れが落ち着いて、仕事がコントロールできるようになってきた。息子も日本語が通じるようになって(笑)。やっと、少し落ち着きましたね。

――その後、コロナ禍が始まった?

高殿:コロナ禍が来て、「無為な時間」が起きた。誰もが「明日死ぬかもしれない」という不安を抱えていたはずです。今までキャリアのことばかり考えていたけれども、「本当にそれは自分のことを幸せにしてくれるのか?」と自問自答しました。

それなりにキャリアを築いた中堅作家、こっから先はもうね、ネトフリでバズるくらいしかない(笑)。無理にバズりを目指すより、「個人的な幸せ」を突き詰めたほうが良いんじゃないかと。

――海外旅行がお好きだけど、コロナ禍では行けず。もうひとつ幸せを突き詰めたら……。

高殿:「温泉だ――!」って(笑)。明日コロナに感染して死ぬかもしれないのに、キャリアばっかり追い求めてもいいのか。みんな同じ境地だったと思うんです。年齢と、コロナ禍、両方が自分の幸せを考えるきっかけになりましたね。

「頑張っている人が社会のせいで貧乏なのが許せない」

 約200万円でDIY&リフォームした98万円温泉ハウスの内装――どうして不動産は女性に必要だと考えますか?

高殿:都会で一生懸命働いている女性はたくさんいるのに、家を持っている人は少なくて、資産を持っている人もひと握り。頑張っている人がいつまでも社会のせいで貧乏なのが最近とくに許せないんですよ!

――我々も好きで貧乏をしているわけではないんですがね……。

高殿:日本円は今後、価値が揺らぐでしょうし、インフレは続くでしょう。働いている女性こそ、リスクヘッジとして不動産を持つことは大事だと思います。だって、キャリアのことを考えながら、自分の老後も考えなくてはいけない。自分の資産を運用することが必要です。

――仮想通貨や株、投資信託、いろいろな資産運用の方法はありますけれども。

高殿:不動産はなんだかんだ、今も「現物資産」です。でも、家の相談をされることが多いんですけど、どんな不動産が良いのかは、人それぞれです。温泉が出る家が、万人に必要なわけでない(笑)。そもそも必要ない人もいます。

 キッチンのDIYビフォーアフター。腐食していた木製の昭和レトロキッチンが見違えるほどキレイに――全員が自分の住む家を持つべき、というわけではないのですか?

高殿:まず、「帰る家がある人」と「帰る家がない人」で、まったく状況が違ってきます。田舎に実家の持ち家がある人は、自分の家を買わなくてもいざというときに帰る場所がある。一方、絶対に帰りたくないとか、他の家族が住んでいる人は帰れない。ここで分岐が生じます。

――そういえば、定年後は実家に帰る、と言っている地方出身の友人もいました。

高殿:帰る家がある人は、働いている間だけ、都内の賃貸物件に住んだり、投資用を購入したり、借地権で会社の近くに住み倒したり、という選択肢が取れます。そうじゃない人は、自分の城、不動産を持つことをおすすめします。



配信元: 女子SPA!

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